拾われた女II (ページ37)

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淑光があの名足カワルだと知ったのは、生徒会長とのギャンブルを降りて暫くしたあとだった。

呼び出されたかと思えば、彼女は変装を解いて素顔を明かしてきたのだ。

…流石に腰を抜かしそうになった。芸能人なんだろうなとは思っていたが、まさかここまでの有名人だとは思っていなかったのだ。

淑光「貴方にとても興味が出てきたわ…もっと貴方の事を教えて頂戴」

淑光は私にそう言ってくれた。
　

そこから仲良くなるまでには時間はかからなかったかな

凜と茨を除けば、一族で最初に仲良くなった人かもしれない

ユメミ「あの…大ファンです！」

…ふと、夢見弖さんが淑光に話しかけた。

ユメミ「ドラマも映画も、出演されたものは全部ソフトで持ってます！

「ミストラル」の演技は震えましたし、「ギャンブルフォール」では、ダークヒロインとして新たな境地を開いてましたよね！？

私、将来貴方みたいな女優になりた……」

淑光「あなた、アイドルの夢見弖ユメミさんね？」

ユメミ「……！」

淑光の言葉に、夢見弖さんは感激して口元を手で覆った。

きっと夢見弖さんにとって、＂名足カワル＂は憧れの存在なんだろうな。そんな人に自分を知って貰えている事が嬉しいのだろう。

だが______

淑光「勘違いしないでね。

私、日本のアイドルなんて興味も無いし、全然知らないのよ？」

　

淑光の返した言葉は、私が思う以上に冷たいものだった。

ユメミ「え…」

淑光「選挙だもの。対抗馬の事ぐらい調べるわ」

『…ッ』

…やっぱり、そういうことだったか

『…＂カワル＂…もしかして、ここに来たのって……

誰かとギャンブルする為？』

そう尋ねると、淑光は小さく微笑みかけ、私の髪をそっと撫でた。

淑光「えぇ、そうよ。

…自己紹介しましょう」

ユメミ「…！」

淑光は妖しく、美しい瞳を夢見弖さん達に向けた。

淑光「私の本名は和楽喰淑光。百喰一族に名を連ねる者…

私はここに、ギャンブルをしに来た」

その言葉に、周りは驚いたように目を開いた。