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一気に苦い思い出が蘇ってくる。
_____________幼い頃、軽い気持ちで挑んだIQ能力試験。
その時の私はなんて浅はかだったのだろう。
前世とこの世の価値基準なんて全然違う。私の学習量だって、この世界の人達にとっては途方もなく多い。
前世では、賢くなればなるほど自分の価値が高まり、生き延びる為の手段でもあった。4歳で数学を勉強する、なんて事は当たり前だった。
だが、この世界では私はただの異常者なのだ。
なのに私は何も顧みる事もなく、普段通りに問題を解いてしまった。
そして記事の通り、記録は歴代最高を更新。
…一時期、騒がれていたときがあったのを思い出す。
うんざりするほどの取材の申し込みやネットニュース。断っても断ってもそれは絶えず、私は流石に憔悴しかけていた。
__だが、ある日を境にそれはパッタリと無くなったのだ。不自然すぎるほどに。
けど今になって理解した。
これは尾喰家の仕業だったのか。
凜「尾喰はね、君の能力を買いたがっていたんだよ。何せウチの稼業にとっては願ってもいないポテンシャルの持ち主だからね」
『はぁ……ちなみに稼業は』
凜「詐欺」
尾喰さんはにっこりと笑って言った。
…え?
『……………………は?今なんと?』
凜「だから、詐欺。聞こえなかった?」
『聞こえてます。………まさか、人を騙してお金を稼ぐアレのことですか』
凜「そういうこと。これが代々尾喰家で受け継がれてきた稼業だからね」
信じられない。
……そんな稼業が存在するのか。
…いや、稼業…というより…これは………
ただの犯罪じゃないか。
私はこれから、こんな家で生きることになるの?
そんなの______________。
凜「ああ、逃げようとしても無駄だよ」
『…ッ!?』
まるで心を見透かしたかのような発言をされる。
私の背中に冷や汗が伝っていった。
凜「16年間、君に里親が来ないようにしたのは僕達だからね。逃げたって居場所なんてないよ」
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作者名:サナ | 作成日時:2022年1月8日 22時