拾われた女【賭ケグルイ】【約ネバ】 (ページ14)

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尾喰茨は嘘が吐けない。

下手というレベルじゃなく、嘘を吐こうとしても身体が生理的に受け付けないらしい。

天性の「正直者」だ。

だが彼は尾喰の人間。嘘を稼業とする家にとって正直者は致命的な問題だ。

そんな茨を大人達は異端として扱った。
ある時には蔑まれ、またある時には暴力を振るわれていたらしい。

…子供相手にいい大人達が迫害したのだ。反吐が出そうだ。

そんな体質に生まれてしまったし、子は生まれる家も選べないのだから仕方ないじゃない。

____そしてまたある時。

嘘を無理矢理吐かされて、体調を崩していた茨の元にある人が手を差し伸べたらしい。

それが凜だった。

凜《茨。君は嘘を吐かなくてもいい》

凜《直系の僕が嘘吐きになる。傍系の君は僕に従え》

凜《僕は尾喰を超え、百喰を統べる大当主となる》

凜《僕もお前も、腐った宿業から解き放たれるんだ》

そうしてその日から2人は行動を共にする事になった。

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茨「_____だから凜さんは俺の恩人なんだ。あの人がいなければ、俺は尾喰として生きることも出来なかった」

茨は空を見上げながら言った。

生まれながらの宿業、責任、重圧、周りからの糾弾。

2人はそんな泥沼のような世界でも生きていたのか。

……まるで、前世の私のようだ。