*前の事務所で ページ29
それから、私はシオンをつれて寮へと戻り、ちゃんと話をすることにした。
言い合いは止まったみたいだったけど、空気はずっとピリピリしてて、逆に誰一人口を開かない異様な状態だった。
このままだと、解散なんてことにもなりかねない。
そうならないために、ちゃんと話さないと……
皆に話していないこと、全部……
ナギ「……で?話って?」
一度リビングに全員集まって話をすることにしたけど、案の定空気は重いまま。
痺れを切らしたように、ナギが不機嫌そうにそう言った。
A「……私が、まだ皆に話していないこと、全部話さなきゃって思って……」
瑛二「話してないこと?」
A「私が、事務所を移籍しなきゃいけなかった理由と、家族について……」
そう言った瞬間、さっきとは違った意味で、空気が張り詰めるのがわかった。
誰も口を開かず、黙って次にくる私の言葉を待っていた。
A「まず、私が前に所属してた事務所、由野プロダクション。そこの社長が、私の父親。元々はお母さんが作った事務所らしいんだけど、私が小さいときに病気で亡くなって、そのままお父さんが引き継いだらしい。本当に小さな事務所だから、仕事を取るのも一苦労だったのに、経営しながら男手一つで私を育ててくれた」
大和「それが今何の関係があんだよ」
瑛一「黙って聞け。まだ始まったばかりだ」
まわりくどい話が嫌いな大和は、突っかかるようにそう言った。
けど、瑛一に制止されて、舌打ちしながらも黙って続きを聞いていた。
A「そんなお父さんの支えになる仕事がしたくて、私はアイドルになった。CDも出して、形的にデビューは出来たけど、次につながる仕事がなかなか取れなくって、細々とやってた。それでもお父さん、必死に事務所を経営していこうとしてくれて、サポートしてくれて……」
由野プロダクションで活動していた思い出が、次々に蘇ってくる。
初めてソロでCDを出した時。
初めてテレビに出た時。
仕事が取れなくて苦しかった時。
それでも必死にあがいて、がむしゃらに走ってた日々……
だけど……
A「私が、16になった時……お父さんが倒れた」
その一言に、何人かのメンバーは目を見開いて驚いていた。
そうじゃない数名は、そりゃそうだとでも言いたげな表情。
仕事に、子育てに……ストレスも大きかっただろう。
倒れた原因は……
“過労”だった。
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十九 雷音(プロフ) - レン大好きさん» コメントありがとうございます!了解いたしました!集計終わるまでもうしばらくお待ちください (2017年4月15日 0時) (レス) id: c9d99963ee (このIDを非表示/違反報告)
レン大好き - うたプリ単体だったら誰でも構いません。 (2017年4月14日 20時) (レス) id: 1ed5a5bed0 (このIDを非表示/違反報告)
十九 雷音(プロフ) - RUIさん» 期待に応えられるようにがんばらせていたしました!いただきます((((;゜Д゜))) (2017年2月5日 12時) (レス) id: c9d99963ee (このIDを非表示/違反報告)
RUI(プロフ) - 十九 雷音さん» はわわ、そうだったんですか!?この主人公ちゃんにも何か辛い過去が………さらに続きが楽しみになってきましたーーー!!!! (2017年2月5日 11時) (レス) id: 88b1fe7b13 (このIDを非表示/違反報告)
十九 雷音(プロフ) - RUIさん» ひぇぇ勿体なきお言葉です((((;゜Д゜))) 最初ナギ、オフで主人公ちゃんを連れ回して、主人公の過去を聞いちゃう話だったのですが、流石にナギだけが聞くのはなと思いこちらに( ̄▽ ̄;) 同時に瑛一は一番最後の予定でした( ̄▽ ̄;) (2017年2月4日 22時) (レス) id: c9d99963ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:十九 雷音 | 作成日時:2017年1月1日 21時