【うた☆プリ】冷めない熱で溶かして【神宮寺レン】

＊結論 ページ25

八雲「で？結局どうすんっすか？勝負受けんの？降りんの？」


答えを急かすように、ため息交じりにそう言う八雲。
Aを賭けの対象にした勝負はあまり受けたくないけど、でも、断れば問答無用でAは事務所を去らなきゃいけなくなる。

それだけは絶対に避けたい。
今はまだ記憶が戻っていないから、どれだけ音楽が好きなのかわからない。
でも、記憶のある本当のAは、誰よりも音楽が好きだった。
それをこんな形で、奪っていいはずがないんだ……


レン「……わかった。受けるよ、その勝負」


考えた末、俺が出した答えは“yes”。
その答えを聞いて、八雲は満足そうに笑うと、こう続けた。


八雲「ルールはシンプル。３カ月後、あんたと俺の一対一でのライブ対決。ネットやテレビ、全メディアを通しての投票形式で票の多かった方が勝ち。ただし、公平を期すためにどっちの曲も姉さんが手掛けること。これだけっす」


随分と仕切ってくれるね。
それに、どちらの曲もAが書く、か……
俺との勝負の他に、Aを試そうってことか。


レン「いいだろう。異論はないよ」

八雲「へぇ、意外っすね。文句の一つや二つ出てくると思ってたんすけど」

レン「ここでもめたとしても、そっちは意見を変えないだろう？なら、どのみち俺に発言権はないよ」

八雲「勝手に決めつけてくれちゃって……今のうちならそっちの意見も聞いてやろうって思ってたのに、マジで損した気分っすわ」


心にもないことを……
でも実際、ここで言い合ってても現状は何も変わらない。
Aをこのまま、シャイニング事務所に残してもらうためには、ライブで八雲に勝つ以外に方法はない。
Aには負担をかけちゃうけど……

ごめんね？
こんな方法しかなくて……


八雲「じゃ、話は成立したんで、この辺で失礼させてもらうっす。曲ができたらここに連絡してくれって、そこでへこみまくってるそいつに伝えて欲しいんっすけど」


そう言って八雲が手渡してきたのは、二つに折りたたまれたメモ用紙。
多分、八雲個人の連絡先。
お互いの連絡先も知らないほど、疎遠な関係だったわけか……

そう思いながら、俺は八雲のメモを受け取り、八雲もそれ以上何も話すことなく、部屋を後にした。

嵐が去ったかのような静けさが、ただただその場に残された……




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