第34話 ページ39
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そしてIH予選当日。
幸いなことに誰も遅れることなく集合して、日向君がゲロ出すこともなかった。(万が一のために袋も用意してあったし、田中も持ってきてくれていた)
なんかあの不名誉な異名で呼ばれていたり、みんなが色々噂されてたり、伊達工の青根に旭さんがロックオンされてたり、なんてこともあったがひとまず第一試合だ。
最初の試合相手、常波高校は言ってしまえば普通。
だけど拾うものは拾うし、スパイクだってもちろんきっちり打ってくる。
烏野が油断することなんてまずないけれど、油断や緊張で負けてなんてほしくない。
『……お願い…』
負けてほしくない。勝ってほしい。
試合に出るわけでもない私がこんなに緊張してどうするんだ、って感じだけど。意志と体は別々のところにあるみたいで、指先がどんどん冷たくなっていく。
「Aちゃん」
『あ、旭さん…』
「俺はもう逃げないし、みんなは強い。だから、安心して待ってて」
力強くて優しい言葉とともに、あたたかくて大きな手が頭を優しく撫でる。
…そうだ。自分で言ったんじゃないか。私はみんなを信じてる。
『……旭さん…脱ひげちょこですね』
「俺けっこう良いこと言ったのにそんなこと言う！？」
ふざけて笑っていたら、いつの間にか自分の手には温度が戻ってきていた。
****
結果は、私達の勝利に終わった。
危なくなるシーンがあったわけでもなかったけど、第2セット目の向こうの2回目のタイムアウトのとき。大地さんの友達の人が何かを言っていて、そこからチームの士気がぐんと上がっていたから、少しだけ焦った。もしかしたら、なんてことがあるんじゃないかって。
でも、勝ったんだ。
「澤村！！」
「池尻？」
試合が終わって移動中、大地さんを呼ぶ声にみんな振り返ってみると、常波の…池尻さんがいた。
走ってきたのか、息を切らしている彼の言葉の先を見守る。
「勝てよ!!たくさん勝てよ!!」
「……」
「勝てよ…！
俺達の分も!!!」
言い切った池尻さんの目には涙が溜まっていた。
今日、この時間だけで、ここに来ているうち半分のチームが終わる。
勝った私たちは、打ち負かした相手の分まで先に進んでいかなければいけない。
「あぁ、受け取った」
たくさんの人達の思いを乗せて、
いざ伊達工戦。
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ふぃる(プロフ) - あかねさん» コメントありがとうございます！なんて嬉しいお言葉…！！のんびり更新ですが、これからもどうかよろしくお願いいたします(^^) (2020年3月12日 13時) (
レス) id: 57a4697fd9 (このIDを非表示/違反報告)
あかね - めっちゃ好きです。このお話読んでふぃるさんのファンになりました笑これからも応援してます！！ (2020年3月2日 8時) (レス) id: 012863f737 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ふぃる | 作成日時：2020年2月7日 11時
