【文スト】スカーレット・バレット【男主】

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＿＿＿＿それで、と太宰は思った。



「……なんで僕が緋景さんと一緒にランドマークタワーに来てるんだい？」


「おや坊や。何かおかしな点でも？」



見上げれば。……太宰の目前には高く聳える、横浜で最も有名な建築物の一つとすら云える、超高層タワー。


大都市横浜の繁栄の中心、今を時めくみなとみらいに位置する其れは、宿泊施設(ホテル)、喫茶所(カフェ)、食事処(レストラン)、大規模商店街(ショッピングモール)などに加え展望階(フロア)まで完備された複合施設である。


人々が行き交うビル街の中、一際目立つ威容を放つ様は、まさに横浜の象徴(シンボル)的存在だ。



＿＿＿＿問題なのは何故かその象徴たる建造物を前にして、太宰の近くにいるのが、


……スーツではなく普段着らしいテーラードジャケットとスキニージーンズをそれなりに着こなした緋景だという点である。



「いやいやいやおかしな点だらけでしょ。視察にしたってなんなのその恰好。いい年して浮かれてるの？ 浮かれてるのかい？」


「真逆。これはきちんとした下見だよ。どこで事が起こっても大丈夫なように当日の待機場所を決める必要もあるだろう。


……いやあ、それに俺は横浜をじっくり回るのは初めてでな？」


「完全に浮かれてるね？」



観光気分もいいところである。


とはいえ確かに当日対処するのが太宰と緋景の二人である以上、敵の動向を確認するのにはことが起こる予定のランドマークタワー近辺が最善(ベスト)。


ここを見て回るメリットもなくはないが。



「……15歳と27歳の組み合わせって変じゃあないかい？ 僕達いったいどういう関係な訳？ 親子？」


「態とか？ 君のそれは態となのか？ 大の大人が公衆の面前で泣く姿を本当に見たいのか？？」


「何マジになってるんだいパパ。ほんの冗談じゃあないか」


「その呼び方は真面目にやめてくれ捕まるから」



はあい、と笑顔で返事をすれば、力ないため息が返ってくる。


……からかってはみたものの、年の離れた兄弟が妥当だろう。緋景は一応を髪を太宰の髪と同色に染めているし、瞳の色はまじまじと見られなければ問題ない。


あえて口に出すつもりはなかったが、……少なくとも下手に注目されたり怪しまれたりすることはない筈だ。

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