18 過去 ページ18
小さい頃から、親はいなかった。
孤児院に預けられ、両親の顔なんて知らなかった。
孤児院の院長は、その地域では知らない人はいないヒーローだった。右足を失って続けられないからと引退して、
身寄りの無い子供のために孤児院をつくった。
______ここまで聞くと、良い話である。
だが実際は、子供達に教育と称して殴るような人だった。
気に入った子供は溺愛し、
気に入らない子供には、
出来が悪いと暴言を吐くような人だった。
私は前者だった。
「Aは良い子だな、」
頭を撫でられ、甘ったるい声で囁かれた。
身体中を舐められているような視線が、
いつもまとわりついていた。
・
「A、おれ、こわい……」
拳をよく振るわれる子供は、
私と同年代の少年だった。
黒い髪に赤い目をしていた。
ゆうくん、と私は呼んでいた。
人のために泣ける子だった。
殴られた子を庇って、自分が殴られても、
文句の一つも言わないような強い子だった。
当時の私は、彼が唯一の家族だと思っていた。
2人で隠れて、手を繋いで、誰かが殴られる音を聞きながら、怯える怪我だらけの幼い男の子を抱き締め、
何度も耳元で同じ言葉を囁いた。
だいじょうぶ、だいじょうぶ。
・
中学生の頃、
院長に呼び出された。
服を脱がされ、手が身体を這った。
荒い息遣いに、熱のこもった視線。
そして迫る院長を、
もう既に私の身長を越してしまったゆうくんが殴りかける。
その後、彼が言った言葉が、
頭から離れなかった。
服は乱れ、汚れた私の身体を抱き締めながら、
ゆうくんは泣いていた。
拳は血塗れになっていて、顔も傷だらけだった。
「アイツが、あんな奴が『ヒーロー』なら、
俺は『敵』になってやる……」
怨みや怒りを煮詰めたような声が忘れられない。
その後、警察が来た。
警察は、真っ先にゆうくんを捕まえた。
逮捕したのだ。
殴られた頬を撫でながら、院長は言った。
「彼は私の大切な息子ですから、
彼が帰るまで、ずっと、待ってますよ」
世間は称賛した。
心の広い人だ。ヒーローの鑑だと。
私のことも、院長の怪我も、
全てがゆうくんのせいになった。
あんな院長が『ヒーロー』で。
人のために泣けるゆうくんが『敵』で。
余りにも可笑しかった。
何で、院長が称賛されて。
何で、ゆうくんが否定されないといけないんだろう。
『敵』は、ほんとに悪なのか。
その日の夜、警察は崩壊した。
あとかたもなく崩れて、無くなった。
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華羅夢(プロフ) - ぽいぽいさん» 何ですって！！ぜひ死柄木くん推しになってくださいな！！彼は魅力的な男です！！コメント嬉しいですありがとうございます････！ (2021年9月19日 8時) (
レス) id: 89a4c751b5 (このIDを非表示/違反報告)
ぽいぽい(プロフ) - この作品で死柄木くん推しに傾きつつある…好きです応援してます頑張ってください!（ノンブレス） (2021年9月19日 7時) (レス) id: 1142a6ee8a (このIDを非表示/違反報告)
華羅夢(プロフ) - れのまるさん» うわああありがとうございます･･････！コメントが1番のモチベになるのですごく嬉しいです！頑張りますね！ (2021年9月14日 14時) (レス) id: 89a4c751b5 (このIDを非表示/違反報告)
れのまる - 死柄木さん最推しなのでこの作品めっちゃ好きです…！これからも応援してます！ (2021年9月14日 7時) (レス) id: ce403bbca4 (このIDを非表示/違反報告)
華羅夢(プロフ) - しいたけさん» しいたけさん、もしかしなくても2回目のコメントですか･････････？コメント来るのが1番嬉しいので、大喜びで話を書いてしまいました！楽しんで頂けて何よりです！！ありがとうございます！ (2021年9月11日 10時) (レス) id: 89a4c751b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：華羅夢 | 作成日時：2021年8月23日 1時
