陸 ページ7
熾勇「つまりは、この事は柱様方も御存知で、彼女は一切害のない鬼だ、と判断しているのですね。
………… そうですか。」
僕はそう呟いて、胡蝶様の部屋を後にした。
自室へと戻ろうとすると、何やらまた騒がしい。
何事かと思い見に行くと、先程の猪頭の男が竈門様の部屋に入り、勝負をしろと喚き散らしていた。
炭治郎「さっき治療してくれた人が安静にしているようにと言ったんだ。
今すぐには無理だよ。伊之助。」
伊之助「そんなの関係ねぇ!俺は今すぐ誰かと戦いてぇんだよ!!
今度こそお前に勝って…………」
僕の気配に気がついたのか、勢いよく僕の方を向く猪頭の男。
伊之助「ぁ、………… いや、えっと、」
熾勇「竈門様の身体が全快するにはあと十分は欲しい所だ。
なんせすぐに飲まなかったせいで酸化してしまったからね。
それまで待てるのなら好きにするといいさ。但し、」
僕は満面の笑みを見せる。
そう、怒りを孕んだ、歪んだ笑顔。
熾勇「これ以上騒がなければ、の話です。」
そう言ってニッコリと笑うと、明らかに動揺している二人。
すると、禰豆子様が僕の傍へと寄ってきた。
禰豆子「うぅー?」
熾勇「………… そう、だね。騒がしいのは嫌いだから、静かにして欲しいかな。
大丈夫、禰豆子様には怒ってないよ。僕が禰豆子様に怒るだなんて…… そうそう無いと思うけれど。」
……………… やっぱり、彼女の【言葉】が分かってしまう。
別に、悪いことではないけれどね。
熾勇「禰豆子様。炭治郎様が無理をしないよう、よく見てあげていてくださいね。
折角の治療が台無しになりますから。お願い出来ますか?」
そうすると、禰豆子様は、私に任せなさいと言わんばかりに自信満々な顔をする。
ふむ、中々愛らしいではないか。
熾勇「頼みましたよ。」
そうして騒がしかった蝶屋敷は、束の間の静けさを取り戻した。
だけど、やっぱり直ぐに騒がしくなる。
でも、その騒がしさは今までと違った騒がしさだった。
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作者名:アルビリオン | 作成日時:2020年4月17日 10時