肆 ページ5
炭治郎「なっ!?何をするんだ!」
熾勇「喚くな。手荒な真似はしない。中身に興味があるだけだ。
兄様に害のあるものでなければ、殺したりはしないよ。」
そう言いながら箱を開けると、中から女の子が出てきた。
………… やはり、この気配。
熾勇「ねえ、この娘。【人間では無い】ね?」
僕が問掛けると、少し驚いた様な顔をしつつ、馬鹿正直に首を縦に振った。
へえ、じゃあ答えは一つだ。
禰豆子「うぅ…… うぅ〜っ!」
彼女は、少し警戒しているようだった。
熾勇「大丈夫、怖くないよ。見た所、君は怪我をしてないみたいだ。
うんうん、僕は冨岡熾勇。宜しくね。」
彼女の頭を優しく撫でてやると、彼女は少し嬉しそうに瞳を閉じた。
その光景に、完全に驚いている日輪の耳飾りを附けた男。
熾勇「ほら、君はさっさとそこに座りなさい。
骨、何本か折れているんだろう?見せてみなさい。」
彼は素直に座り、隊服を脱いで怪我の具合を見せてくれた。
ふむ、この怪我では暫くは寝たきりだね。
熾勇「面倒だけど、これをあげるよ。今すぐ飲みなさい。」
そう言って、小さな小瓶を渡す。
中には、綺麗な赤色の液体。
炭治郎「えっと、これは?」
熾勇「飲まないなら三ヶ月は布団の上だよ。」
脅すように言うと、意を決したように小瓶の蓋を開けた。
すると、一瞬、彼女の瞳が鋭くなったのを感じた。
熾勇「やっぱり。鬼なんだね。」
その言葉に、日輪の耳飾りを附けた男は少し眉をひそめる。
炭治郎「禰豆子は鬼だが、人は食わない。絶対にだ。」
熾勇「そんな事聞いていない。早くそれを飲みなさい。
【酸化】したら効能が薄くなるだろうから。」
小瓶の中身の匂いをクンクンと嗅ぎ、目を見開いた。
炭治郎「これっ、………… 【血】じゃないかっ!?」
なんの為に瓶詰めにしていると思ってるんだこの阿呆は。
熾勇「今お前の命の手網を握っているのは僕だ。
本来なら動けるはずもない大怪我をしているんだ。
それに、良くない所に折れた骨の一部が突き刺さっている。
それを飲まなければ、お前は脚を切り落とす事になるぞ。」
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作者名:アルビリオン | 作成日時:2020年4月17日 10時