参拾陸 ページ37
ふと目を覚ますと、そこは自室だった。
…………………… 全く、本当に愚かなのは貴方だよ。
記憶の共有が無い?
そう思っているのは貴方だけ。
何故なら、貴方が世界を拒絶しているだけなのだから。
貴方が望めば、貴方の欲しているものは全て手に入るのに。
記憶の共有も。愛してやまない弟も。未だ忘れられない元恋人も。
完璧な【血鬼術】も。
とにかく、【義勇様】にはしっかりとお説教して差し上げなくては。
……………… あと、しばらくは胡蝶様と口を利くのはやめる。
あの人にあんな酷いことをするなんて、…………
【義勇様】に酷いことをする人間は大嫌い。
それと同じくらい、【義焔】兄さんに酷いことをする人間も嫌いだ。僕の敵だ。
この身体を護るために生まれた以上、敵は、排除する。
………… さて、蝶屋敷で【義勇様】の様子でも見に行こう。
*********
蝶屋敷へと一歩足を踏み入れると、竈門様の大きな声が聞こえてくる。
炭治郎「ダメですよ義勇さん!!まだ安静にしていないと!!」
……………… あーもう救いようがない馬鹿だなあの愚か者。
そんなんだから【愚弟】と呼ばれるんだ。
僕は、声のする方へと向かう。
そこには、傷だらけの身体を引き摺りながら日輪刀を手に持ち、また外へ出ようとしている【義勇様】が居た。
そして、その身体を必死に抑え、何とか説得を試みようとしている竈門様。
僕は足早に二人に近づく。
すると、僕に気がついた竈門様が、【義勇様】の耳元で叫ぶ。
炭治郎「ほらっ!熾勇は元気になりましたよ!!
もう外に出る理由はないですよね!!」
その言葉に、【義勇様】は僕を見る。
そして、安心したように僕の身体を抱き締めようとした。
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作者名:アルビリオン | 作成日時:2020年4月17日 10時