弐拾捌 ページ29
それにしても、童磨に抉られた傷が痛いな。
早く治したいけど、これに小瓶を使うのは良くない。
あれは、兄様と死にかけの重傷者にしか使いたくない。
熾勇「………… ねえ、胡蝶様。もう少し痛みが引く薬は無いでしょうか?
まるで、この傷口から毒が侵食してるかのように痛いのです。」
その言葉に胡蝶様は目を見開いて僕の傷の具合を見る。
すると、胡蝶様は驚くべき事を口にした。
しのぶ「……………… 私とした事が、…… っ、
今すぐに薬を調合します、熾勇くんは安静にしていてください。」
……………… あの外道が。
僕に噛み付いた時に何か仕込みやがったな……
何の類かは知らないけど、次に会った時は首を切り落してやる。
胡蝶様は僕の傷口から血を採取し、侵食している毒を打ち消す薬の調合のために部屋を出ていった。
カナヲ「………… あの、大丈夫?
具合が悪くなったら、すぐに言ってね。」
僕は、満面の笑みでカナヲを見た。
熾勇「なら、一人になりたい。
今すぐここから出ていってくれないか?
……………… もちろん、禰豆子もだよ。」
毒が何処まで巡っているのかわからない以上、最早【やり直す】しかない。
すると、何かを悟ってくれたかのように、禰豆子はカナヲの腕を引き、部屋から出て行こうとする。
カナヲは少し驚いていたけれど、抵抗することも無く、そのまま禰豆子と一緒に出ていった。
さてと。
……………… 集中しろ。
僕はゆっくりと息を吸う。
僕の身体を蝕む毒。
これは、【命に関わる】毒だ。
怖い、嫌だ、まだ死にたくない…………
……………… 助けて、…… 【義焔】兄さん……
2人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:アルビリオン | 作成日時:2020年4月17日 10時