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僕の兄様の一日はとても早い。




僕の兄様は、【鬼殺隊】と呼ばれる所の水柱なのである。








正直、僕は鬼殺隊や産屋敷耀哉様が嫌いだ。




兄様がそんなところにいるせいで、任務を任されるせいで、柱なんてものになってしまったせいで、兄様はとても忙しい。



兄様が忙しいということは、その分僕との時間が少なくなるということだ。



実に腹立たしい。




僕は、ずっと兄様のお傍に居たいのに。






そんな事を考えながら、兄様の朝食を作る。




出来上がれば、兄様の部屋まで持っていく。



そして、大好きな兄様を眠りから覚ます。





熾勇「………… 兄様、起きて下さい。朝ですよ。




本日も朝から任務だと伺っております。早く朝餉を召し上がって、ご準備を………… 」





そう言いながら兄様の身体を揺らしても、なかなか起きる気配が無い。



熾勇「兄様?兄様の好きな鮭大根を御用意したのに、冷めてしまいますよ?」



掛け布団を無理矢理剥がすと、少し体を丸める愛らしい兄様。




義勇「…… っん、…… 熾勇、か?」



寝惚けている兄様の頬を、優しく撫でながら僕は微笑む。



熾勇「…… はい。兄様の弟の、熾勇ですよ。



朝餉の準備が出来ております。ほら、起きて下さい。」



まだ少し眠そうな兄様の両手を掴んで身体を起こす。



すると、兄様は深く息を吸った。





そして、どこか嬉しそうに微笑んだ。



義勇「美味しそうな匂いだ。」



熾勇「兄様の為の朝餉ですから。当然です。」




自信満々に言うと、兄様は僕の頭を優しく撫でてくれた。



僕は、この兄様の手が大好きだ。




いつまでも、ずっと撫でていて欲しい。






そう思いながらも、時間は刻一刻と迫っていた。




兄様は朝食を済ませると、すぐに身支度を整える。




そして、僕の手を引いて冨岡邸を後にする。






着いた先は、蝶屋敷と呼ばれる鬼殺隊の隊員たちが傷を癒したりするところ。




義勇「では、行ってくる。」



そう言って兄様は冷たく去っていこうとする。



熾勇「兄様!」



僕が名を呼ぶと、兄様は少し驚いたように振り向く。



熾勇「ちゃんと【御守り】は持ちましたか?」





そう言うと、兄様は優しく微笑み、左胸を抑える。




その反応に満足した僕は、兄様を送り出した。

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作者名:アルビリオン | 作成日時:2020年4月17日 10時

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