柱最強の雨柱は剣士達の溺愛を受ける

参拾参ノ話 ページ40

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“術式展開”………これが猗窩座の血気術なのかは不明だが。

これは、単順に言えば…未来予知の羅針盤とでも言えるだろう。


『ふぅ……雨の呼吸 肆ノ型 紅涙迅雨の華胥』


猗窩座からの技を刀で受けると共に床に描かれる、歩の華。

剣先から落ちた刃の華弁が、猗窩座に向かって飛んでいく。が、致命傷となりそうな一撃は尽く避けられる。


猗「破壊殺 乱式」

『雨の呼吸 拾壱ノ雫 華時雨 凍零舞』


猗窩座の脚に凍りが纏わり着き、一瞬動きが封じられるが。秒速で技が拡げられる。

何だこの終わりのない戦い。


これだと、私負けるぞ。体力で負けるぞ、なんかそれ悔しいな。


猗「今まで出会った人間の中で……雨の呼吸か…一番の強者だな。名はなんだ」

『えーと、あー、アレキサンドロス･クリエト･デビデデカ･アーロです』

猗「…………鬼に冗談が通用するとでも？」

『てめぇに名乗る名は持ち合わせてねぇってことだよ察しろ。壱ノ型 涙時雨』


広範囲に降る細かい斬撃。

正直私にも危険が及ぶ型だが、師匠に散々この技吹っかけられた記憶がある。お陰で今では全く絣もしないが。


これと同様、猗窩座も華麗に避けている。

くっそ、こいつ強いな。分かってはいたことだが、今更その事実に直面すると結構心臓えぐれる。ははははは。


猗「強い人間は、より強くなるため。鬼になるべきだと思わないか？」

『嫌、思われねぇよ』

猗「そうか…残念だ。破壊殺 脚式 冠先割」


強力な一打、の予感がした私は。とっさに右から現れたそれを跳ねて避ける。

は……？

跳ねて避けて、少しは掠ったのかもしれない。その掠った影響が…私の隊服をここまで裂くとは、ね……。


……気付かないでくれ。そう願った。


此方に近付く人間の気配が五つ。

まだ匂いが解る範囲に居ないが、多分鬼殺隊であり。柱格の五人をお館様が寄越したんだろう。






猗『邪魔が来たな』







『…あぁもう……なんで助けに来てくれたんだよ』



悲鳴嶼行冥、不死川実弥、伊黒小芭内、冨岡義勇、時透無一郎。

馬鹿男五人が、鬼の形相で私の元に駆け寄った。


不「お館様がお怒りだぞ」

『はぁ…絶対そうだと思った』

伊「今すぐにでも説教がしたいが、それは後だ」

悲「南無阿弥陀仏…そうではなさそうだぞ」

伊「…何？」


五人が到着したと同時に、猗窩座の動きが止まった。

傍から見れば一人で会話をしている変人だが、鬼舞辻からの司令かなにかが入ったのだろう。

猗窩座は、態とらしく私を見ると。一瞬でその場を去った。



負ける気はしなかったが…勝てる気も、しなかった。

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