拾肆ノ話 ページ15
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今まで、自分が無力だと感じたことは何度かあった。でも、これほどに無力だと痛感したことは……
一度も無い。
鍛錬をして、任務をこなして、鬼殺隊に自分の命を捧げて来たから。
『……信用されて…ないっ、のか』
鬼舞辻無惨を殺す為に、為だけに鬼殺隊は存在している。結局はそうだろう。
でも、お館様が鬼舞辻無惨を自分の手で滅すると、そう考えられたのならば。
私は…なんの為に……
私達は鬼舞辻無惨を殺せないのだろう。
お館様が自ら手を下さると言うのだから。自らの命を犠牲に。
『も…やァ……だ』
私を救ってくれたお館様を、私は救えない…?
私の存在意義は、鬼を切ることで、お館様を守るとこで。
それ以外……無くて。
宇「よォ…どした。暗ぇーな、珍しい」
『うーさいです、天元さん』
宇「つまんねぇ反応だなァ、いつもはもっと驚く癖に。良い反応期待してたんだけど?」
『そんな気分じゃねーの分かりますよね?』
宇「まー、見ればな」
肩を叩かれ振り返ると、変な面を付けた天元さんが立っていて。
いつもなら大声で発狂して逃げ出すくらい驚くんだけど、今はそんなふざけた事出来る訳無い。
自然と頬が濡れていて、こんな惨めな姿天元さんに見られたくないし、見せたくないけど。
涙って止めようと思って止められる物じゃない気がするんだよね。
『くっそ、何見てんですか』
宇「やっぱ涙脆いな、お前」
『ほんとうるさい』
泣いてる女の子に慰めの言葉も掛けられねぇのか嫁三人いる癖によ。
宇「お前四人目になれよ、俺の嫁はいいことばっかだぜ」
『泣いてる女に慰めの言葉も掛けられない奴と結婚する気はありません』
宇「欲しがりかよ、しょうがねぇーなー」
“何がしょうがねぇんだよ”と天元さんに腹パンをかまそうとした時。
後ろから抱き締められた。
『うわ、浮気ですか』
宇「はっはっー、許容範囲内だぜ?」
必死に笑顔を作り、軽口を叩くけど。そんな必死さが見苦しい。
抱き締められた腕に力が入り、振りほどこうにも出来なくなる。
宇「富岡じゃねぇし、時透じゃねぇけど。我慢しろよ」
『こうやって嫁さんゲットして来たんですか』
宇「俺は女になら誰でも優しいんだよ。いくらお前でもな」
『死んで?』
宇「殺してみろよ」
殺って殺りたいけど、こんな力で抱き締められたら刀抜こうにも抜けねぇだろ。
背が高いせいか、無駄に包容感があり、体温が高いのか、暖かい。
私の頭の上に顎を起きやがるので思いっきりぶつけてやろうかとも思ったけど、思ったより優しく慰められたので見逃してやろう。
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冨岡義勇が大好きな人 - すみません。冨岡さんルートの先のストーリーがURLでの移動ができません。これはどうしたらいいのか教えてください。 (2020年3月5日 0時) (レス) id: eedc890ee9 (このIDを非表示/違反報告)
エメラルド・アリス - ぐぁんばれぇぇぇ((おい敬語だろ すいませんでした (2020年2月16日 13時) (レス) id: 8a3a604a3a (このIDを非表示/違反報告)
かりんとうまんじゅう - いつも楽しみに読ませていただいてます!これからも頑張って下さいね! (2020年1月7日 22時) (レス) id: 5b8fccba8f (このIDを非表示/違反報告)
むい。(プロフ) - ムニエルさん» あ、はい。よくやるんですよね全く。ありがとうございます (2020年1月3日 9時) (レス) id: 830124773a (このIDを非表示/違反報告)
ムニエル - す、すいません義勇さんの冨が誤字ってます (2020年1月3日 4時) (レス) id: 12d65f590d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:24suganoya | 作成日時:2019年8月4日 23時