柱最強の雨柱は剣士達の溺愛を受ける

拾弐ノ話 ページ13

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その夜、吉原遊廓は鬼の襲来を受けた。
私、義勇さん、無一郎が報告を受けて遊廓に戻った時には、私達が居た時より姿の変わった街が見えた。

私が居た見世のみ。まるでそこに何も無かったように全てが消えていて。他の見世は、少しの戸惑いは有りながらも営業している。

そこに新たに増えたのは、その見世の遊女、働き手達、楼主、





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『……内儀さん…』





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死体の山。

普段なら一瞥もせずに立ち去る物に、今日ばかりは嫌という程に囚われる。


富「A……どうした」

時「何かあった…？嫌、あったんだけど」

『……………私のせいだ』


辞めるのが早すぎて疑われた。
鬼が見つかって、もう私達の勝ちだって…。油断とは違う。けど、見落としてた。鬼にも知性のある体は居るってことを。

こんなに簡単な事を。


『くっそっっが！！！』

時「え、、ホントに何があったの」

富「……見世の奴らと仲良くなりでもしたか」

時「嗚呼〜……。辛いね」


私は普通、思ってる事は率直に言うけど。何かと本音を隠して何も言わない人間。
何か言うと全部本音だから上手くやってけない時あるでしょ。だからね。

でも、義勇さんは何か私の事に関しては勘が良くて。
無一郎は勘が良いってよりも、私の事をよく見てるから。今こう思ってるでしょ的な予想が良く当たる。

普段はその二人の能力に感謝するんだけど、今回ばかりは“何でこんな勘良いんだよ馬鹿野郎”とさえ思ってしまう。


『はァ……なんかもう本当、駄目だ』


抜いた刀が僅かに震えていて、それは私が怒りで震えているからで。

頬が濡れていて、それは私が泣いているからで。

なぜか身体が暖まって、それは二人が私を抱き締めているからで。


時「Aって意外に涙脆いよね」

富「確かにそうだな。この前泣いたのは……」

『うるさいっ！もう！！』

時「抱き締めると直ぐ止まるよね、何で？」

『知らない！』

富「何でだ？」

『だから、分からない！』


こういう時だけ、謎にコンビネーション巧みに虐めてくるんだからタチが悪い。

確かに、抱き締められて。
義勇さんや無一郎の匂いは心を落ち着かせるし、包容感大好きだし、暖かいの大好きだけど。だけど……！！


『なんか悔しい』

富「何も悔しい事なんて無いだろう？」

『私があるんですー！』

時「そろそろイチャイチャしてられないや、見回り行こう」

『イチャイチャなんかしてないでしょ！？』


三人並行に並んで走りながら遊廓を周回し終わり、死体の山を供養した後。お館様に任務完了を告げて私達は解散した。

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