8 ページ8
『……エムシーエムシービービー、さん?』
「…”もちもちベイブ”、とその人は言っていました。」
スマホが間違えた翻訳をしたのかと思ったが、そうではないみたいだ。
もちもちベイブさん……何か思ったよりも可愛らしい名前の方だった。
もちもちベイブさんも、韓国人なのかな。
『あの、本当にありがとうございます。貴方のお名前は…?』
そう聞くと黒フードさんはふるふると首を振って席を立った。
あ……せめて、お礼を……あ、でも韓国語で何ていうの!?あれか…?カムサ……みたいなやつ!?
わからないけど、とりあえず言ってみるしかない!
『か、カムサハ”ニム”ダ!!』
ドアに向かう黒フードさんに少し大きめな声を振り絞って叫んだ。
すると黒フードさんはピタりと動きを止めた。
……え、何、何か失礼なことでも言ってしまったのか……?
「………ぷ、」
『!?』
……え!?今笑った!?
マスクはしているものの方を小刻みに揺らして手で口元を当てている黒フードさん。そしてちらりと小さく振り返った。
……あ、初めて目が合った。
先程は鋭い目つきだと思ったが、目尻が緩やかに下がるその笑った眼は多くの人を笑顔にする眼だと感じた。
「カムサハ”ムニ”ダ。ありがとうごじゃいます」
そう言って黒フードさんは私の最寄り駅の手前の駅で降りた。
……ん?
カムサハムニダ……カムサハ”ニム”ダ………
……反対だった!!!
1人取り残された車内で私は勢いよく両手で顔を覆う。周りからみたら不審者も同然だ。
恥ずかしい……韓国語……勉強しよう……
〜私の顔が熱かったのは韓国語を間違えたからなのか、それとも去り際に初めて聴いたあの人の声があまりにも心に浸透したからなのか、
それは今でもわからないのです。
ただ教えてもらったメールアドレスの紙を握って家に向かう足取りは、ドラマが決まった時の足取りよりも幾分も軽やかだったのを覚えています。〜
.
1068人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「SEVENTEEN」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆい - はじっこアイドルから見てます!更新楽しみにしてます。応援してます! (9月14日 21時) (レス) @page26 id: eb0d326e95 (このIDを非表示/違反報告)
千笑 - 前作から見させていただきました。個人的にうーたんのことはすごく気になっていたので、うーたんが幸せになれそうな感じがして感謝感激です。sumiさんが戻ってくるの待ってます。コロナで大変な時期ですが、お体に気をつけて元気に過ごして下さいね。応援してます。 (2021年8月30日 11時) (レス) id: 14dbb1d17f (このIDを非表示/違反報告)
???(プロフ) - sumiさんを見つけてからもう2年以上経ちます。sumiさんの描くお話が大好きでこの作品は数え切れないくらい読み返しました。こんなに更新が楽しみで夢中になって読んだお話は初めてです。アプリもう消しちゃったかもしれないけど、いつまででも待ってます。大好きです (2021年5月4日 6時) (レス) id: 4f3fa02159 (このIDを非表示/違反報告)
うすす(プロフ) - このお話も前のお話も全部好きです。永遠にsumiさんのお話は最高で大好きです。最後まで読みたい…。更新いくらでも待ってます。ずっと大好きです。 (2020年5月30日 22時) (レス) id: a2b2c72b52 (このIDを非表示/違反報告)
夢っ子(プロフ) - sumiさんのお話ずっと大好きです泣…書き手をおやめになさる様ですがお身体にご自愛ください…これからもずっと1番大好きな書き手さんです><また更新してくださることを祈ってます> < (2019年7月10日 1時) (レス) id: a4b9391cc3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:sumi | 作成日時:2018年3月14日 2時