好きでいてもいいですか part3

最後なの ページ36

『式が終わったら、あの場所で待ってる』




何のことかわからない、場所の指定くらい正確にしろ






そう思うのが普通







でも、多分私達は普通じゃないから







この言葉が許されたんだと思う









最後にあの人に会った時、もう会わないと決めたのに







最後の最後で破ってしまうのは








まだまだ私が子供だから。


大人っぽくなんてないよ、琴美。





理科準備室。
慣れたもんだな、ここへ来るのも。




ドアをノックし、少し間を開けて入る。



理科準備室




窓の側に椅子を移動させ、タバコをふかしながらこちらを向いた




西浦「…きたか」





「はい」




私は、ドアの前に突っ立ったまま





西浦「教育大受けたんだって？聞いた時驚いた」





「…はい」





西浦「…なんで？」






「いわなきゃ、ダメですか」






西浦「先生として、聞きたい。」





「深い理由なんてないですよ」






少し悲しそうな顔をするあなたを、私は見逃さなかった





そっか。と呟いて首のうなじを触る



嘘つき、気になるくせに。








「ただ。」






特別です








西浦「ん…？」








「あなたと同じ立場になれば、あなたの気持ちがわかるのかなって」





「同じで景色を、見たいんです」






何を言ってるのか？と言うような表情





「簡単に言うとね」




5mくらいあった距離を、ゆっくりと減らしてゆく






しゃがみこんで、あなたをしたから見上げた





「私はまだ、孝至さんが好きです」




そう言い終わると椅子から崩れ落ちるように抱きしめられた





西浦「俺も、忘れられない」



たぶんあなたは、キスをしようとした。


それをとめたのは、私だった




「だめですよ、前も言いました」





肩を軽く押して距離をとる







「卒業したんです、もう会える環境なんてありません。今日で、本当に終わりなんです。」






西浦「そんな…」




続きで、何を言おうとしたかわからない。

ただ、先生が言えなかったのは…私が涙を堪えられなかったから




「お願いします……諦めがつくまででいいんです、…好きでいさせてください」





その言葉を、吐き出すように言った





膝立ちになり、あなたの首元にキスをした。





愛しい人から、自ら離れる



最後に握られた腕から、ヘアゴムが切れた


小走りで教室をあとにして、泣きながら歩く私の背中に





A





そう叫ぶ声がこだました

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