好きでいてもいいですか part3

名刺 ページ18

最近、色々なことができて嬉しい。





ホールの仕事だけではなく、少しではあるがキッチンの仕事も任されるようになった。





私がいつも出ている時間は学校が終わってから。
このバイト先は、夜はホールとキッチン1人ずつで仕事をする。





社員さんと二人きりが多いので信頼も深められた。





それと同時に、緊張もほぐれ、自然に笑えるようになっていた。








「いらっしゃいませー」




ある日、常連の男性のお客様が来店した。






顔と注文内容を覚えてきたので、手早く準備する






入りたての頃、お会計失敗してパニックになった時に優しくしていただいたお客様だった




40分くらいして、お会計をした。





ちょうど社員さんは買出しに行っていて、私一人だった。






「お客様お会計1380円です」




いつも通り伝票を受け取ってレジを打ち、お釣りを返した。





ありがとうございますと言おうとしたが、お財布の中身を見ている




デパート内の店なので駐車券かな？と思い横目でスタンプを準備した。





『あの、これ…』





「はい………え？」








駐車券ですねー、と言って受け取ろうとしたがそれは違うものだった









白いカードのようなもの。

名前が大きく書かれていて、それが何なのか学生であっても理解出来た。









名刺だった







『今度食事でも、あれなら捨てていいんで…』






条件反射だったのか、両手でそれを受け取った。





するとお客様は財布をしまい店を出た。





お客様が一人もいない状態であったが、レジの前に立ち尽くしてしまった。







ボーッと名刺の文字を見つめる。






○✕社 代表

岸 孝則







そう書かれた手のひらサイズの紙を







ずっと見つめることしか出来なかった。

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