残酷 ページ14
遠い。
気持ちもだけど、物理的にも。
勇気の家から学校まで、自転車で30分くらい。
その前に違うところにも行ってるから、走行距離が尋常じゃない
それでも、早く会いたい。
それだけの気持ちで自転車を漕いだ。
ようやく学校につき、自転車を適当に止めて中に入る
仲のいい警備員のおっちゃんに軽く頭を下げ、向かうのは準備室。
絶対にいると思った、ここしかないと、なぜか言いきれた。
ノックもしないで、ドアを開ける
すぐに後悔した。
西浦先生は、机に突っ伏して寝ていた
静かにすればよかった、疲れてるのかな。
そっと近づく。
同じ目線に膝を折った
綺麗な寝顔。
頬にそっと触れた
長いまつげがぴくんっと動いた
うっすら目を開け、あなたの手は私の頬を撫でた
今日会った誰よりも、優しい温もりだった
徐々に目が開くにつれて頬の温もりが遠ざかった
西浦「なんだ?忘れ物か?」
上体を起こして言った
「あの。聞いてほしいことがあるんです…」
不思議そうに首を少しかしげた
「私、勇気と付き合ってないんです、うそだったんです」
「あなたを守りたかったんです、お仕事無くなっちゃうなんて耐えられなかったし…奥さんのことも、今更なのに傷つけたくないって思ったんですっ」
だんだん目が大きくなる先生を見ながら言った
「先生が、すきです。この気持ちは嘘じゃないんです」
ポロポロと流れる涙は制服のブラウスに落ちた
、
、
、
西浦「…悪いけど、俺はもう好きじゃない」
あぁ、聞きたくない、信じたくない言葉を聞いた。
西浦「俺はお前と遊んでたわけで、好意なんてないよ」
潤む目をあげると、あなたは首を触っていた
それが癖なのか、ただ触ってるだけなのかは、わからなかった
癖だと、信じたかった
「そう…ですか。」
それしか言えず、準備室を出た。
本当に終わった。
届かなくてもいいって思ってたけど
どこかで叶うだろって思ってた
どこかで、安心感があった
あなたが、抱きしめてくれるって
あなたが、好きって言ってくれるって
流れた涙を、拭う手はない
「残酷……っ」
それでも好きでした。
これで、踏ん切りがつきました。
これで最後。
最初で最後の、最高の恋。
「愛してました。」
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雲類鷲(プロフ) - 夜に見てたんですけど、ものすごく感動してしまってたくさん泣きました。私も今先生の方が好きで共感できました。素晴らしい作品をありがとうございます! (2022年2月19日 9時) (レス) id: b3359691d7 (このIDを非表示/違反報告)
ななこ(プロフ) - kisakiさん» コメントありがとうございます!! 共感いただけて嬉しいです…… (2020年7月12日 1時) (レス) id: cd79ee8b93 (このIDを非表示/違反報告)
kisaki - 私も先生のことが好きで共感もできて、ずっと泣いていました。ありがとうございます! (2020年7月11日 21時) (レス) id: 33631d02f5 (このIDを非表示/違反報告)
ななこ(プロフ) - ゆるゆるるるるさん» ゆるゆるるるるさん!読んでくださってありがとうございます!そんなこと言っていただけるなんて光栄です、またお立ち寄りください! (2018年2月25日 15時) (レス) id: ac6c3bd1ce (このIDを非表示/違反報告)
ゆるゆるるるる(プロフ) - キーワード検索で見つけてぶっ通しで読んでて夕方から今までじっくり読んでボロ泣きしました。涙腺崩壊して2時間くらい泣いてます…めっちゃいい小説…こんな素晴らしい小説と感動をありがとうございました! (2018年2月25日 2時) (レス) id: fa9c1b39ad (このIDを非表示/違反報告)
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