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いつもより早めに済ませた風呂上がり。
部屋に戻っても、妙に落ち着きなくソワソワとしてしまう。
弟は部活で遅くなる。母さんは自治会の集まりで留守。父さんは仕事。つまり家には俺一人。万全な状態。
そこでようやく、スマホが軽快な音を立てて鳴り始めて。
画面に表示された彼女の名前。
緊張を悟られぬように、ニヤニヤと上がってしまう口角を抑えて、そっとボタンを押して電話に出た。
『も、もしもし』
「ふふ……もしもし」
あからさまに緊張している彼女がかわいい。ちょっと上擦った声は電話特有のものなのか。
電話してもいい？ そんな彼女のワガママを聞いた時は、少し驚いた。
自分がマメに連絡をするタイプじゃないからこそ、そもそもそれを我儘だと思わせてしまっていたことが申し訳ない。
でも、彼女の方からそれを頼んでくれたのは素直に嬉しかった。
我儘なんかじゃない、こんなのただの可愛いお願いだ。
『電話、してみたけどね』
「うん」
『……何話したらいいかわかんない』
「ふっ、」
『だ、だって！』
笑い声を漏らせば、焦ったような声が聞こえる。
きっと顔を真っ赤にして、落ち着きなくしているんだろう。かわいいなあ。
「ふふふ……ねえ」
『ん？ なに？』
「来週の土曜、空いてる？」
『え……うん』
「じゃあさ……花火大会、一緒に行こう」
ようやく紡いだその言葉。たっぷりの沈黙の後、｢いいの？｣なんて的はずれな返答が耳に届いた。
「ふふ、なんで。おれが行きたいの、」
本当は。バス停でAがずっとこれのポスター見てたの、気付いてたから。
あの時。一緒に行けたらいいな、そう思っていたのがおれだけじゃなかったことちょっと安心したんだよ。
ずっと誘いたかったけど、勇気が無くて誘えなかったんだ。
『拓弥くん』
「……ん？」
『……だいすき』
それだけ。おやすみなさい。
プツリと切られた電話。画面に浮かび上がった通話終了の文字を見ながら、思わず頭を抱えてしまった。
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ちよこ(プロフ) - 草村 みゆさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけると、書いていてよかったなあと思えます(; ;) 嬉しいです(; ;) 気まぐれな更新が続くかと思われますが、今後ともお付き合いくださると嬉しいです！ (2017年10月9日 23時) (
レス) id: 96b79ece7b (このIDを非表示/違反報告)
草村 みゆ(プロフ) - この話すごく好きです！ 続きも楽しみにしてます＼(^o^)／ (2017年10月1日 17時) (レス) id: d19d8cf885 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちよこ | 作成日時：2017年8月16日 19時
