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「おつかれさま」
「ん、」
タオルでわしゃわしゃと髪を拭く拓弥くんは、なんだか子犬のようでかわいい。
視線をずらすと、視界に入ったそれ。
「あ……拓弥くん、膝」
「え、あ、ほんとだ」
「保健室、行かなきゃ」
「ふふ、大袈裟だな」
ただの擦り傷なのに。そう笑う彼だけど、私が歩き出したら、きちんとそれに着いてきてくれて。
保健室へ足を踏み入れると、さっきまでいたはずの福田くんの姿はもう見えなかった。
机に出しっぱなしの消毒液と絆創膏の箱は、たぶん彼の仕業だろうけど。
「ありがと」
「ううん」
傷口に絆創膏を貼って、救急箱を片付けて。
ベッドに浅く腰掛けた拓弥くんが、一連の動作を終えた私を手招きする。
「こっち、来て」
「ん」
すとんとその隣に腰を下ろせば、拓弥くんの手がまた私のポニーテールを触り始める。
時おりその毛先が首筋にあたるから、少しくすぐったい。
「……ちゃんと、見てた？」
「うん」
「嘘」
「へ……」
「……途中、いなかったでしょ」
驚いて顔を上げると、怒ったような拗ねたような顔をした彼がいた。
福田くんに呼ばれて保健室にいた、あんなちょっとの間のことだったのに。まさかそれに、拓弥くんの方が気づいているなんて思ってもみなくて。
誤魔化すように立ち上がって遮光カーテンをしめる。単純に、彼とこうしているところを外から誰かに見られるのが恥ずかしかったっていうのもあるけれど。
そんな抵抗も虚しく、手首を掴まれ、そのまま腕を引かれて。バランスを崩し、今度は彼の胸に飛び込むようになってしまった。
「えと……たくやくん、？」
「カーテン閉めたから、外から見えない」
だから遠慮はしてやんない、とでも言いたいのか。こうなったのは私のせいだと言いたいのか。
私をぎゅっと抱きしめた拓弥くんは、そのまま動こうとしない。
私の独占欲が増しているだけじゃない。彼の方も確実に、前より私に甘くなってきている。
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ちよこ(プロフ) - 草村 みゆさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけると、書いていてよかったなあと思えます(; ;) 嬉しいです(; ;) 気まぐれな更新が続くかと思われますが、今後ともお付き合いくださると嬉しいです！ (2017年10月9日 23時) (
レス) id: 96b79ece7b (このIDを非表示/違反報告)
草村 みゆ(プロフ) - この話すごく好きです！ 続きも楽しみにしてます＼(^o^)／ (2017年10月1日 17時) (レス) id: d19d8cf885 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちよこ | 作成日時：2017年8月16日 19時
