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追われることに慣れていた彼。
追いかけるのは初めてのことだったらしい。
彼女のことで悩んで頭を抱える拓弥は、本人には申し訳ないけどすごく面白い。
「なあ」
「んー？」
「……お前、いつの間にAとLINE交換したの」
部室のベンチに突っ伏していたはず拓弥は、そのまんまるの瞳で俺をじっと見ていた。
「こないだ、補習から戻ってきた誰かさんが嫉妬丸出しでAちゃん連れて帰る前？」
汗だくの髪をタオルで拭きながら答えると、分かりやすく動揺する拓弥。ああ面白い。
ようやく着替える気になったのか、立ち上がった彼はTシャツを脱いで。
その可愛らしい整った顔立ちからは想像出来ないような男らしい身体。……羨ましいなんて言ってやんねえ。
俺の隣のロッカーを開けた拓弥の顔を見ないまま、口を開いた。
「俺にまで妬かないでよ」
「はあっ？ べ、別に、？」
「わかいねえ、かわいいねえ、たくやくん」
顔を見なくたって。
拓弥が明らかに動揺してることも、恥ずかしがっていること、丸分かりだから。
「いいこと教えてあげるよ」
「……」
「Aちゃん、俺といる時もずーっと、お前の話しかしないの」
拓弥くんがね。拓弥くんは。拓弥くんの。
彼女の口からそれ以外の話題を聞くことの方が珍しいんじゃないか。
「どっちもどっちだね、君たち」
ネクタイを締めて、部室を出ようとしたところで。
拓弥せんぱあい、なんて声が外から聞こえた。
「……またかよ」
「モテる男は辛いですね」
1年マネの東さんは、やたらと拓弥を頼る節がある。
勿論それは、拓弥に対して特別な感情があってこその態度なんだろうけど。
「俺が行こうか？」
「や、いいよ」
雑にワイシャツを腕まくりして、荷物をバッグに詰め込んでいるコイツは、それを理解しているのか。
「……ちゃんと断らないと、本命のあの子が勘違いしちゃうから気をつけてね」
「……どういうこと、」
「あ、ほら。早く行ってあげないと。俺は先に帰るよー」
振り返らずに、部室を後にした。
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ちよこ(プロフ) - 草村 みゆさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけると、書いていてよかったなあと思えます(; ;) 嬉しいです(; ;) 気まぐれな更新が続くかと思われますが、今後ともお付き合いくださると嬉しいです！ (2017年10月9日 23時) (
レス) id: 96b79ece7b (このIDを非表示/違反報告)
草村 みゆ(プロフ) - この話すごく好きです！ 続きも楽しみにしてます＼(^o^)／ (2017年10月1日 17時) (レス) id: d19d8cf885 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちよこ | 作成日時：2017年8月16日 19時
