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拓弥くんと出掛けるという旨を伝えた途端、母の目の色が輝いた。
新しく浴衣を買おう。
昔着ていたやつよりもっと大人っぽいやつ。
何色がいいかしら。あ、柄は？
お母さんのおさがりじゃ勿体無いもの。
せっかくならお化粧もしなきゃ。
ねえA、聞いてる？なんて。
私より楽しそうな母を見るのが、何だか面白かった。そして何より、嬉しかった。
ふと、母に頼まれたアレを思い出して。
巾着からそろりと取り出したのはスマートフォン。
運良く拓弥くんは、ぼーっと夜空を眺めている。
けれども。カシャ、となったシャッター音は私が記憶していたより大きかったらしい。
「……まだ花火上がってませんけど？」
「ちが……違うの。これは、その」
「盗撮？」
「う……ごめんなさい」
「ふふ、別にいいけど」
笑って拓弥くんが、何かを思いついたように自分のスマホを取り出す。
「俺だけ撮られるのは不公平じゃない？」
「えっ……いやあ……」
「はい、こっち向いてー」
「は、恥ずかしい」
思わず顔を隠すと、拓弥くんの指が私の頬を優しく摘んだ。
「俺のことは撮ったのに？」
「拓弥くんはいいの。いつもカッコイイから」
「……それ、さっきから無意識？」
「え？」
「なんでもない」
わしゃわしゃと自分の後頭部を掻いた彼。
頬を摘んでいた手が離れて、私はよくわからないまま彼を見つめ続ける。
不意に動きを止めた彼が、私の視線に気がついて。
きっとこの時の私は、ずいぶん間抜けな顔をしていた。
ふっと微笑んだ拓弥くんは、少し身を屈めながら、私の肩を抱き寄せた。
「じゃあ二人で撮ろ」
「わ……」
「さんにーいち」
「え、ちょ」
頬と頬が触れそうな至近距離に慌てる私に対し、無情にも鳴り響いたシャッター音。
「や、絶対変な顔してる」
「ふふ」
「ねえ、笑わないでよ……」
彼の携帯から送信された画像を確認すると、そこに映った私はやっぱり驚いたような照れたような顔をしていて。
拓弥くんの意地悪。スマホを握りしめて拗ねていると、またも耳に届いたシャッター音。
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ちよこ(プロフ) - 草村 みゆさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけると、書いていてよかったなあと思えます(; ;) 嬉しいです(; ;) 気まぐれな更新が続くかと思われますが、今後ともお付き合いくださると嬉しいです！ (2017年10月9日 23時) (
レス) id: 96b79ece7b (このIDを非表示/違反報告)
草村 みゆ(プロフ) - この話すごく好きです！ 続きも楽しみにしてます＼(^o^)／ (2017年10月1日 17時) (レス) id: d19d8cf885 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちよこ | 作成日時：2017年8月16日 19時
