☆[エイシュウ]邯鄲之夢 -その刹那に剣を抜く- ページ40
病気で寝込む恋人を励ます為に、彼女の元を訪ねる。
彼女は肺に結核を患っており、苦しそうに血を吐く所を毎日見ていた。
この島には病院は無いが、腕の良い医者がいる。
物腰は柔らかいが手荒な治療を得意とする彼女だが、
私の恋人であるAには優しくしてくれる。
聞くに症状は末期だが、薬を飲んでいれば多少は軽くなるそうな。
何とも有り難い。
そしてここまで現代医学が進歩していた事に感心したぞ。
彼女の住む小屋に着いて、起き上がろうとする彼女の身体を抱き締める。
「辛いのだろう？無理をして動く事は無い。」
『ごめんなさい。せっかく来てくれたのに何も出来なくて。』
「今動けば完治が遅くなる。
薬を貰ってきたから飲むと良い。」
彼女はお礼を言って、薬が乗った私の手に自分の手を重ねた。
巾着を開け、中の粒を一つ取り出して水と共に流し込む。
巾着の口を締めて私に返されると、
手元のコップと共に近くの机に並べた。
『…ありがとう。エイシュウは優しいね。』
「その様に言ってくれるのはそなただけだ。
そら、眠りなさい。私が隣にいるのでな。」
『嫌、もうちょっと喋りたい。』
弱々しくごねる彼女を見て、私は仕方が無いと息を吐いた。
「起きたばかりならすぐには寝られぬか。」
『違うの。寝ちゃうと、次に起きるのはいつになるのか分からなくて。』
病床にいるとマイナス思考になり得るのは良くある事だが、
ずっとそのままだと不安にしかならない。
体温が少々失われている彼女の手を
そっと握ると、微笑みながらこう言った。
「そう心配せずとも、Aは必ず明日も目覚めるさ。
だが、目覚めぬ日は必ず来るだろう。
それがそなたら人間と言うものだ。」
龍人とて、人より寿命は永くとも必ずその日は訪れる。
『受け入れてるつもりだけど、
面と向かって言われるとやっぱり辛くなるね。』
「すまない。だがこれに関しては言葉を選ぶ事は出来ぬのだ。
それにそなたの目覚めぬ日は、もう少し後になりそうだからな。」
『え…？』
「叶わぬ完治の為に薬を飲み、空元気の笑顔を向けてくれる事は
一日でも永く生きようと思っているのだろう。
そなたの運命や人生の否定などせぬよ。」
そっかと、彼女は微笑み返した。
全ての生き物には、存在する時間に限りがある。
その時間をどう使うかはその者達にしか操作出来ない。
だからこそ、＜変わらない事＞を精一杯楽しもうではないか。
〜〜〜
予想以上に重くなってしまった…。
リクエストありがとうございました！
☆[ヤマト]Ora Coniungere Nervi -大和男子の琵琶の音- ※口調崩壊注意→←☆[フローレ&シエル&ロコ]Trois Anges -天使達の純愛- ※百合&キャラ崩壊注意
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螢羅(K-Ra)(プロフ) - アメジストさん» ありがとうございます！どうぞ他の作品も楽しんで下さい！ (2020年1月28日 18時) (
レス) id: b7b3ad2127 (このIDを非表示/違反報告)
アメジスト - 完結おめでとうございます！。寂しくなってしまいますが、これからも貴方様の小説を読みます！。アンデルの長編も楽しみにしてます！。それでは、またお愛しましょう！！。 (2020年1月28日 17時) (レス) id: 0a7b322e74 (このIDを非表示/違反報告)
螢羅(K-Ra)(プロフ) - アメジストさん» 応援ありがとうございます！これからも楽しんで書いていきます！ (2020年1月15日 19時) (レス) id: b7b3ad2127 (このIDを非表示/違反報告)
アメジスト - メッセージを見ましたが、改めまして、リクエストばかりで申し訳ありませんでした！。そして、自身で書きたいものもたくさんあったにも関わらず、リクエストを、お応えいただき、誠にありがとうございました！。これからもこの小説はもちろん、他の小説も応援してます！ (2020年1月15日 19時) (レス) id: 0a7b322e74 (このIDを非表示/違反報告)
アメジスト - そうでしたか！。読んでみます！。 (2020年1月15日 7時) (レス) id: 0a7b322e74 (このIDを非表示/違反報告)
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