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☆[クロード]貴殿に捧げるサファイアの薔薇 ページ25

私達のデートは、決まって夜中。
私がA姫を城から連れ出す所から始まる。
『ふふ。ここまで永いと、流石に城の者に怒られそうね。』
「だが、気付かれた事は一度も無いだろう。」
怪盗の恋人は良い事ばかりでは無い筈だが、
彼女は私を慕ってくれる。
以前この島に来た有名な怪盗の様に、
どうやら私は彼女の心をも盗んでしまった様だ。
彼との大きな違いは、私の方が
先に彼女にそれを盗まれてしまった事だろう。

泉の近くで足を止める。
濡れない様にと、彼女をそっと抱き寄せた。
『慣れているのね。流石は紳士だわ。』
「貴殿の為だ。姫に対する礼儀作法は身に着けている。」
A姫からも、体をぴたりと寄せてきた。
彼女の好きな薔薇の香りが、ふわりと鼻を擽る。
『まるで怪盗には見えないわ。』
「貴殿は私に、怪盗を辞めて欲しいと思うかい?」
『いえ、思わないわ。
仕事の話をしている時の貴方、とても楽しそうですもの。』
歌う様にそう言う彼女を、少し強めに抱く。
誰にも望まれていないだろう私の存在を、
彼女のみが受け入れてくれているのだ。
それを感じて、私は密かに心を昂ぶらせていた。

頭上の月が、星の光と共に泉を美しく煌めかせ出した頃。
大切な話がある、と彼女に告げて指を鳴らす。
一瞬にして私の姿は、黒のスーツ姿に変貌した。
その下のワイシャツはグレーで、白のネクタイを着けている。
全てこの日の為に、取り揃えた物だ。
更にと、シルクハットから薔薇の花束を取り出した。
近くの家から漏れる灯りが、薔薇を青く照らす。
「A姫、薔薇の花言葉を知っているかい?」
『教養として、頭に入っていますわ。
<情熱、愛情>ですわね。』
「流石だな。ならば青い薔薇にも花言葉が存在する事は知っているかい?」
『…<不可能>、ではなくて?』
「それもあるが、他にもあってな。
私がこれに込めた言葉は<一目惚れ>、そして<神の祝福>。」
そう言うと、彼女は驚いた様にこちらを見た。
「私と永遠の愛を紡いでくれないか、A姫。」
普段はしない真剣な眼差しで、彼女を見る。
その答えは。
『……嬉しい。
その言葉を受け入れますわ、クロード様。』
言葉の後に、音も無く唇が重ねられる。
風に揺れた花束は、数枚の花弁を闇夜に舞わせた。

これで、堂々と貴殿を愛せるな。
―――貴殿に神の祝福があらん事を。
〜〜〜
「そのサファイア―」の続編です。
壁ドンを入れる所が分からなかった…。申し訳無い!
リクエストありがとうございました!

☆[エルドゥール]Ice Break -無口な彼の本心は。- ※軽度のキャラ崩壊注意→←☆[ヌール]Agreement Necklace -星明かりに誓う- ※独自設定有り



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螢羅(K-Ra)(プロフ) - アメジストさん» ありがとうございます!どうぞ他の作品も楽しんで下さい! (2020年1月28日 18時) (レス) id: b7b3ad2127 (このIDを非表示/違反報告)
アメジスト - 完結おめでとうございます!。寂しくなってしまいますが、これからも貴方様の小説を読みます!。アンデルの長編も楽しみにしてます!。それでは、またお愛しましょう!!。 (2020年1月28日 17時) (レス) id: 0a7b322e74 (このIDを非表示/違反報告)
螢羅(K-Ra)(プロフ) - アメジストさん» 応援ありがとうございます!これからも楽しんで書いていきます! (2020年1月15日 19時) (レス) id: b7b3ad2127 (このIDを非表示/違反報告)
アメジスト - メッセージを見ましたが、改めまして、リクエストばかりで申し訳ありませんでした!。そして、自身で書きたいものもたくさんあったにも関わらず、リクエストを、お応えいただき、誠にありがとうございました!。これからもこの小説はもちろん、他の小説も応援してます! (2020年1月15日 19時) (レス) id: 0a7b322e74 (このIDを非表示/違反報告)
アメジスト - そうでしたか!。読んでみます!。 (2020年1月15日 7時) (レス) id: 0a7b322e74 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:螢羅(K-Ra) | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年4月28日 15時

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