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耳を切る風の音も、遠くに聞こえる轟音も、瓦礫が崩れる音も、全てが耳から消えた。身体中の神経と意識が目の前の彼女に釘付けになる。
「……………」
こちらを横目に流し見る彼女は表情ひとつ動かさない。
顎下で揺れる金糸の髪、海のように澄んだ蒼い瞳。
雰囲気は違ど間違いない。
あの兵士は、紛れもなく——。
「………ルアナ、」
4年ぶりに口にした最愛の名がじんわりとリヴァイの心臓に熱を与えた。4年経った今でも、リヴァイのスカーフの下にはあのリングが揺れている。
他の奴に任せなくてよかった。
リヴァイが兵士の正体を見て最初に思ったのはそれだった。
こちらの世界での彼女は死んだ英雄だ。兵士という職に就いている者なら、彼女の名も顔も知らない者はいない。それが生きて敵国にいたとなれば大問題で済まされるものではない。こちらの秩序も乱される。
彼女の存在は秘密裏に——。
リヴァイは彼女に奪われていた意識を無理やり現実へ戻した。
彼女が旋回により速度を落としたところを見計らって一気にガスを吹かすとあっという間に彼女の間合いに入る。一瞬の隙も見せずに刃を突きつけるが、さすがは彼女と言ったところか。全く遅れを取ることなくブレードを引き抜き、リヴァイが振り下ろした刃を受け流す。
カキンカキンと金属がかち合う音が何度か響き、最終的にリヴァイが彼女を壁際に追い込んでその音は止んだ。
「……………」
彼女にリヴァイの顔を見て驚いたり動揺したりしている様子はない。ただ淡々と、あくまで任務としてこなしているといった具合か。
彼女の凛とした面持ちにリヴァイも少しばかり冷静さを取り戻した。とは言っても心臓はうるさく動悸しているのだが、次に何を問うかは流れるように分かった。
「……お前、名前は」
「……………」
まるでこの空間だけ切り離されたかのように、静かでゆっくりと時間が流れる。この無言でさえも懐かしく、心地よい。
しばらくの沈黙の後、彼女がゆっくりと小さく口を開く。
「……ルアナ」
最愛の名が固い口調とは裏腹に柔らかい声で彼女の口から紡がれる。
「
「っ！」
彼女の身に覚えのある言い回しに、リヴァイは思わず言葉に詰まった。やっとの思いで「………そうか」と呟いたリヴァイは小さく息を吐き、再び彼女を見上げた。
「でもお前、——
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あんこもち(プロフ) - 無名さん» コメントありがとうございます。確かにマーレ急襲時にはスカーフを巻いていませんが、リヴァイはやはり通常時にはスカーフを巻いていることが多いのでそのように表現しております。分かりにくく申し訳ございません。 (11月19日 11時) (
レス) @page35 id: d1838a7b16 (このIDを非表示/違反報告)
無名 - 854年のリヴァイさんは最初の方だけスカーフをしていなかったと思いますが... (11月19日 0時) (レス) @page35 id: 633d257dbd (このIDを非表示/違反報告)
愛 - 最高スギィ！もう毎朝学校行く前に読ませて貰ってます‼︎これからも頑張って下さい応援してます❤️ (5月15日 2時) (レス) id: 0f2e86f85b (このIDを非表示/違反報告)
んご - めっちゃ最高です！更新頑張ってください！！ (2023年4月30日 7時) (レス) @page6 id: 2dc34b573e (このIDを非表示/違反報告)
高橋 - 頑張ってください！ (2023年4月1日 23時) (レス) id: 2973651174 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あんこもち
| 作成日時：2023年3月22日 16時
