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「全員、動くな」
捕縛布を構え、相澤は一人前に出る
ブラドも生徒たちを庇うように立ち警戒を露わにする
その間にも草陰からの音は鳴り止まず堂々と近づいてきてるのは明白
「なんだよ…またさっきの奴かよ……！」
「落ち着け、峰田」
またニセモノだとは思うものの迂闊に手は出せない
焔は厄介なので相澤は個性を発動させる
ガサッ……
「っ……先生っ……」
「！！！」
出てきたのは先の敵ではなく行方を懸念していたシンだった。所々汚れ疲れているように見えるが大きな怪我はなさそう…それに
「シンっ！！」
「円場！！」
ダッと切島と物間が止める間もなく駆け出す
2人が叫ぶようにシンはB組の生徒-円場-を背負っていた
慌てて相澤とブラドも駆け出す
「何があった…！」
「ブラド先生っ円場意識がないっ！！」
円場を物間に託し、その場に座り込むシンを
切島はすかさず支えてやる
息が上がって途切れ途切れになりつつもシンはしっかりとした口調で話し出す
「はぁ、ガスでみんなやられ、て…1人背負って逃げるのがやっとだった」
「よくやった、セドリック……礼を言う！」
「轟と爆豪はどうした！？爆豪狙われてんだよっ」
「ごめん…っ途中ではぐれちゃって…多分まだ森に、爆豪…狙われてるのか？」
切島と話すシンに相澤は違和感を感じた
命からがら生徒を一人庇いながらここまで逃げてきたのだろう
仲間を庇うことの出来るやつだ、そこはまだそんなに不自然じゃない…
「シンー！ひとまず無事でよかったよー心配したんだよ！」
「悪い、心配させて。俺はこの通り無事だよ」
「！」
乾いた音を立てて捕縛布がシンを捕らえる
「！！相澤先生っ何を…！！？」
「イレイザー？！」
「シンからはなれろ、今すぐ！！」
相澤の緊迫した声に
反射的に全員後退する
教え子を拘束する相澤にブラドも動揺が隠せなかった
「どういうこと？相澤先生…」
眉を下げ、悲しそうにシンは相澤をみやる
それに答えることはせず一言こう伝える
「シンはどこだ…」
「「「「！！！」」」」
見た目の違和感はない
けれども相澤は感じていた
彼はこんな快活に話すやつだったろうか
目を見て会話出来るやつだっただろうか
なにより
「シンは、自分のことを"俺"とは言わない…」
ギリィと捕縛布を握る指に力がこもる
．
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作者名：みけいぬこ
| 作成日時：2022年2月24日 16時
