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「やーい外人!!」
「ちょっとサッカーができるからって調子にのってんじゃねぇ!!目と髪が変な色の奴はどっかいけよ!!」
「おい泣いてるぜ!!サッカーは強くても喧嘩はよわっちぃな!!」
なんで。悲しい。俺がなにをしたの。やめてよ。酷いよ。
どれだけ考えても口から出てくるのは嗚咽だけだった。
『ひ、っぐ……うぅっ……ぁあ゛っ』
顔は涙に汗に鼻水と土でぐちゃぐちゃ。
膝に滲んでいる血が、押されたお腹が、蹴られた足が、心が痛くて痛くて痛くて痛くて痛くて痛くて仕方がない。
でも俺は体が弱いからやり返すこともできない。
俺は心が弱いから言い返す度胸もない。
弱い自分が嫌いだ。
初めてボールを蹴ったあの日から、弱さを知ったあの日から、地に這いつくばる自分に酷く腹が立つようになった。
悔しくなり握りしめた地面に血の混じった手形が付いた。
そろそろ帰らなくちゃと立ち上がろうとしたけど、全身が痛くて思うように動けない。
不安から溢れでる涙をぐしゅぐしゅと袖で拭い、もう一度と足に力を込めた瞬間、頭上から声が降ってきた。
「だいじょうぶかよ」
『………だれ?』
「おれは
『たから、』
「おまえは?」
『A……A・ユウェ………っ、
「……そーかよ。おまえいじめられてんのか」
『い、や……。それは……』
「あし、けがしてる」
『!!これぐらい、』
__________目の前に差し出された手。
「A、たて」
『………たから』
あの瞬間。あいつが何よりも輝いて見えた。
サッカーに出会った時と同じような、感覚。
「……おまえ、あるけてねぇじゃん」
『いたい…』
「ぅ、…………はぁー。しょーがねぇ。おんぶだ」
布越しに感じる確かな体温。
ふわりと香ったお日様の匂い。
『…………いっしょにあそぼ』
「あしたならいいぜ」
「おまえのこといじめてたやつら、しょうがくせーだろ。なんかしたのか」
『さっかーしてきゅうけいしてたら、きゅうにボールとられていじわるされたから、あしつかってうばいかえした』
「ふーん。おまえもさっかーやるんだな」
『たからもやるの?』
「ふふん。おれはな」
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ミヒャエル - これ、続きって出ないんですか?この作品が好きでなんでも読んでしまうので早く見てみたいです! (2023年5月12日 9時) (レス) id: 75c64eb483 (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - 初コメ失礼します!私男主の愛され大好物なので嬉しいです!ビーコンレタスもイケマス()ブルロのキャラ全員推しなので嬉しいです!更新頑張ってください! (2023年4月29日 18時) (レス) @page2 id: 3b02df20c8 (このIDを非表示/違反報告)
花紅柳緑(プロフ) - 天使。さん» ありがとうございます〜!!とっても嬉しいです!! (2023年3月3日 22時) (レス) id: 53a75dcec8 (このIDを非表示/違反報告)
天使。 - 最高に面白い作品です!!見ててニヤニヤが止まりません!!すごい好きです!! (2023年3月3日 21時) (レス) @page25 id: 68ee57cead (このIDを非表示/違反報告)
花紅柳緑(プロフ) - レモネードさん» そんなに前から読んでいただけて幸せです😢💓とても素敵なお言葉に感激してしまいました、時間のある限りは沢山の作品を書いていこうと思っているのでこれからもよろしくお願いします (2023年2月4日 22時) (レス) id: 53a75dcec8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花紅柳緑 | 作成日時:2022年12月3日 17時