狙うは世界一の妻【ブルーロック】【男主】

#20 ページ23

「10ゴール入れた！！出掛けようぜユーちゃん！！」

『重っ……髪の毛引っ張んな……!!』

「どっか連れてってくれんだろー」

なぁーはやくー、と親鳥に引っ付いてまわる雛鳥のごとくAの周りをうろちょろしている士道龍聖を、彼のチームメイトはまるで空想上の化け物に会ったかのように、信じられないと口を大きく開けて見ていた。

爆発だとかなんだとか訳の分からないことを言っては他人に暴力を躊躇なく振るい、しかし実力はこの場にいる誰よりも上である、本当に存在そのものが謎のようなあの男が。夢か幻覚でも見ているのだろうか。

『分かったから龍聖、着替えておいで。俺は絵心に出掛けること伝えてくるから、30分後に迎えに来る』

「ちゃはぁ!!楽しみすぎんだろ!!へへへ!!!」


『野次馬はさっさと練習戻りなよ』

「ぇ、」
「やじうま……」
「っ!!Aさん!!なんであんな奴と!?」
「そうですよ!!!」

吠える男たちに可愛らしい顔をこれでもかと歪め、『あんな奴……?お前ら、誰の将来の旦那候補に向かって言ってんの?』と、怒りに満ちた声でそう言ったAに皆 時が止まったかのように静まり、部屋の温度が2、3度下がったように感じられた。

メディアやサッカーファンは彼のことを恋物語の乙女(ロマンス・メイデン)と呼んでいるが、なにが乙女だ。あの冷刻な瞳は少なくとも可愛らしい少女漫画のヒロインのものではない。

盛大な舌打ちをしたあと去っていく彼の姿が見えなくなったと同時に、その場にいた人間は全員腰を抜かしへたり込んだ。

誰かの「ヒロインより悪女だろ」だという呟きには、きっと頷かなかった者はいないだろう。
その後の練習は、美人が怒ると怖いってほんとのことだったんだな、とばかり考えてしまって身が入らなかった。







「気に入ったみたいだな」

『それなりに』

「"下の名前で呼ぶ"ほどには、な。」

『じんぱち』

「やめろやめろ。気持ち悪い」

『俺は絵心もファーストネームで呼びたいけど』

「そのままでいい。そっちのほうがなんだか呼ばれ心地がいいもんでな」

『そっか』












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一応言っておきますけど、パクリ厳禁です。
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