狙うは世界一の妻【ブルーロック】【男主】

#14 ページ16

ちゃぷ、水同士のぶつかる音が風呂場に響く。
温かい湯船に肩まで浸かって「ふぁ……」と気の抜けた声を出していると、やはり日本人の血が流れているなと再度認識する。
ベルギーと日本のハーフだが、性格や言動はやはり母さん似らしい。容姿は父さんが7割 母さんが３割といったところだろう。

幼少期は日本に住んでいたが、父さん譲りの髪と瞳の色でかなり苦労したことを思い返す。
小さな子供は 自分と違うものを認められないのだ。何が言いたいのかと聞かれれば、イジメを受けていたと言う他ない。
しかし子供のやることだ、ハブったり嫌味を言ったりと、今考えればとても幼稚なものだったのだが。如何せんその時の自分も子供。周囲と違うことに傷つき泣いていた。

「おれは Aの めのいろ べ、べつに……きらいじゃねぇから、きにすることねぇよ!!」

「このシュシュやるよ おれの めとおなじいろだ 。これで"おそろい"だろ……だ、だからなくんじゃねぇ!!!」







『＿＿＿＿＿あ゛〜〜〜ふろ、きもちぃ』

「髪下ろしてるんだな」

『……黒名。と、』

「あの……えーっと、……ぼ、ボクみたいなのがA・ユウェル選手と同じ湯船に入っていいのかなぁ……ファンに刺されたくないよぉぉ」

『時光、風邪引くから早く入った方がいいよ』

「ご…ごめんなさいぃぃ」

『え……なんかごめん』

３人横並びで浸かる湯船は先程よりも格段に気持ちがいい。やっぱり風呂や温泉は他人と入ってなんぼだ。

「ひぃぃちかぃぃ」と震えている時光を余所に、黒名はふわふわだなと俺の髪に手を通して遊んでいる。

「いいな……これ。」

『くすぐったい』

「我慢 我慢」


「ユウェル選手って意外と細い……あああ、ごめんなさい、つい思っちゃって口が滑って、あの……ごめんなさぃ」

『んー。確かに俺は細いね、昔は筋肉が上手く付かなくてさ。ちょっと苦労した』

「腹筋はバキバキに割れてるな」

『頑張った』

「抱きしめやすそうで好きだ」

『どーも』

「だき…!!?」

このあとテレビや映画、好きなサッカー選手の話で盛り上がった。時光が意外にも海外選手に詳しく会話を弾ませるうちに距離が縮まり、３人ぴったり肩をくっ付けながら短いような長いような癒しの時間を過ごした。

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