#13 ページ15
腕を掴み胸元へ引き寄せ その勢いのまま食らったのは 陶器のような毛穴一つ見当たらなくマシュマロを連想させる白い肌にはめ込まれている苺ジャムの塗られた赤い唇。
香りも 口から漏れる息も 僅かな隙間から感じる味も 全てが甘い。
蜂蜜 苺 砂糖 を鍋に放り込んで煮詰めた、全身で感じる甘ったるさに頭がおかしくなりそうだった。
パチパチと、昔 真夏の暑い夜に家族でやった線香花火が鼻の上で弾けた。
数秒、数十秒、どのくらいの時間が経ったのかは分からない。息苦しくなって唇を離せば ゼロ距離で真っ直ぐに自分を見つめる、インクを溶かしたように青く静かな瞳に糸師凛は心の中で舌打ちをした。
何故かは分からない。身体のアフターケアでクールダウンヨガをしている最中に現れた男に気づいたらキスをしていた。
隣に立つことを許してはくれなかったあの兄から「目標」だと、自分から隣に立ちたいと望まれている男に酷く腹が立っていた。
いつだったかテレビで見た、兄が男へ向ける眼差しが先程のキスのように甘く蕩けそうだったことを思い出し 頭を掻きむしりたい衝動に襲われる。
このまま押し倒して全てを食ってやりたい。
身長差で上から見える無防備な鎖骨に噛みついて、その綺麗で忌々しい顔を歪めてやりたい。
首筋に跡を付けるのもいいかもしれない、捨てた弟が愛する人に付けたマークを見たあの男の反応を想像するだけで、意識の飛びそうな高揚感に呑まれた。
動く気配が無いのを良いことに 今度は優しく唇を合わせた。角度を何度も変え、熱い息と共に開かれた口に舌を入れた。
糸師凛の初めてのキスはA・ユウェルという男にくれてやった。
サッカーばかりで恋や性には興味なかった、しかしどれだけ無関心でも男という生き物な以上、長い期間ヌかなければ体が重く感じることがありプレーに支障をきたす。自慰、それと行為の知識はある。
それでも誰かと身体を重ねたいなどは1度も思ったことはなかった。
_____この男が触れられる距離に来なければ。
世界一になるのは糸師凛だ。
そんな自分の妻になるのが目標だと言う男には 褒美で恋と性の最初と最後ぐらいくれてやる。
息をしようと上下に揺れている肩を優しく抱き寄せ 手と手を合わせる。細い薬指に触れて ここにはめられる指輪と、それを見た兄を想像し、歪んだ笑みを浮かべた。
1208人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミヒャエル - これ、続きって出ないんですか?この作品が好きでなんでも読んでしまうので早く見てみたいです! (2023年5月12日 9時) (レス) id: 75c64eb483 (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - 初コメ失礼します!私男主の愛され大好物なので嬉しいです!ビーコンレタスもイケマス()ブルロのキャラ全員推しなので嬉しいです!更新頑張ってください! (2023年4月29日 18時) (レス) @page2 id: 3b02df20c8 (このIDを非表示/違反報告)
花紅柳緑(プロフ) - 天使。さん» ありがとうございます〜!!とっても嬉しいです!! (2023年3月3日 22時) (レス) id: 53a75dcec8 (このIDを非表示/違反報告)
天使。 - 最高に面白い作品です!!見ててニヤニヤが止まりません!!すごい好きです!! (2023年3月3日 21時) (レス) @page25 id: 68ee57cead (このIDを非表示/違反報告)
花紅柳緑(プロフ) - レモネードさん» そんなに前から読んでいただけて幸せです😢💓とても素敵なお言葉に感激してしまいました、時間のある限りは沢山の作品を書いていこうと思っているのでこれからもよろしくお願いします (2023年2月4日 22時) (レス) id: 53a75dcec8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:花紅柳緑 | 作成日時:2022年12月3日 17時