酔った彼氏の本音【鬼滅の刃】【短編集】

〇 ページ12

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ｺﾝｺﾝｯ



「天元、入るよ」
「入るな」



低く発せられた声に背筋が凍る




「どうしたの？本当に大丈夫？」
「大丈夫だ」





どことなくか細い声に不安が募る、もしかして任務での傷を隠してるとか

何か抱え込んでしまっているのか


いてもたってもいられなかった私は勢いよく襖を開けた




「なっ、おい。開けるなって！」




そこには、縁側に座って顔を真っ赤にさせた天元が居たんだ



服が色気を持っているようにはだけて、露出された肌さえも赤く染っていた



「天元、もしかして酔って、」
「酔ってねぇ」

「ふふっ、あははっ」
「何がおかしいんだよ」




「だって、天元がお酒に弱いなんて、誰も想像つかないよっ」



「俺は弱くねぇし、すぐに酔わないだけだし、」





いじけているのか、天元は三角座りで畳を指でいじいじしている





「だから入るなっていったのに」
「ごめんて」





「おれ、かっこわりぃ」




天元にも、きっと弱い一面はあって

それを簡単に人に見られるような失敗は出来なかったんだ





「天元はかっこいいよ。」




その言葉に、天元は目を潤ませる



私は天元の大きい体に包まれた






「A…、すき。」
「うん」

「だいすき」
「うん」

「俺のこと、すき？」
「すき」



酔うと子犬のようになるんだなぁ




「ふふっ、頭ぐりぐりしないで、くすぐったい」
「んー、おれだって甘えてんの」




柔らかい毛先が頬をくすぐる、天元のいい匂いがして少し安心する




「なぁ、A。ちゅーしたい」
「どーぞ」




ﾁｭｯと軽く触れられるだけの口吸いが可愛くて、つい頬が緩む




「あれ、」



天元は不思議そうに私の唇を鳥みたいにつつくように口吸いをする





「なんか、上手く出来ねぇ….」




どうやら本人の思ったような深い口付けが出来なくて、焦っているようだ





「なんでぇ…」




焦った天元の目からはボロボロと熱い涙が零れる



「な、泣くようなことあった？！」
「だってぇ、おれ祭りの神なのに。ちゅーすんのが上手く出来ねぇ…」



こんな大男が口付けが上手くいかないからと泣くなんて珍しすぎて

うちのは可愛すぎる。





「祭りの神は凄いよ、だって私の自慢の神だから。ほら、泣かないで」

「うん」




涙を拭ってあげると、天元は顔をくしゃっと崩して笑いながら




「ありがとう」と言って。




甘えるように、私の膝で眠りについた。




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