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5人目 護衛 ページ5

「君が、総汰さんの息子の零一郎君?」

学校へ行こうとした時、零一郎は見知らぬ男に話しかけられた。

「…そうですけど、誰ですか?」
「話は聞いてなかったか?
 俺は護衛をすることになった『薬師 康大(やくし こうだい)』だ。
 よろしくな。」

薬師は白い歯を見せて笑う。
それに対して零一郎は、少しだけ顔を歪ませた。

護衛がやってきたという事は、本当に総汰は狙われていることになる。
…信じたくなかったのだ。
総汰が殺されるという事を。

「今から学校か?送ってくぞ。」
「え…。」

薬師がニッコリ笑って言ったので、零一郎は断れなかった。








「…『神代(かみしろ) 零一郎』。」

車を運転しながら、薬師は言った。
その言葉に、零一郎は反応する。

「…君の本名。」
「なんで知っているんですか?」
「タメ口でいいぞ。」
「……。」
「君の本当のお父さんとは、仕事で知り合ったことがあるんだ。」
「本当の、父さんを…?」

薬師は静かに頷く。

「俺が君を引き取ってもよかったが、仕事の都合で会いに行くことができなかった。
 でも…、引き取ってくれる人がいてよかったよ。」
「……父さんは、どんな人だったんだ?」

薬師は鏡越しに零一郎を見た。

「もう、8年も前のことだから、覚えていないんだ。
 ただ、覚えていることは…。
 …あまり家にはいなくて、いつも怪我をして帰ってくることだけ。」

少しだけ、ほんの少しだけ、薬師の顔が歪む。

「…君のお父さんは、仲間思いの人だった。
 どんなに厳しい仕事もやり通した。
 周りの人から、とても信頼されている人だったよ。」


「――零一郎君。君のお父さんがこう言っていたのを覚えているよ。
 
 『俺の息子には、俺のようには絶対になってほしくないんだ。』
 
 …ってな。
 だから、あまりお父さんのことは知らなくていい。」

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金魚草(プロフ) - 続編をーm(__)m (2014年9月23日 15時) (レス) id: 182f82b565 (このIDを非表示/違反報告)
金魚草(プロフ) - キャラ設定見たいなー (もちろんイラストつきで) (2014年9月2日 17時) (レス) id: 182f82b565 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃんき - 最新作、楽しみにしてまーす!! (2014年8月31日 19時) (レス) id: b48bae43af (このIDを非表示/違反報告)
ちゃんき - どーも!ちゃんきですっ!ちょーおもしろかった♪勉強よりも読んでた方いいわーwwまた読みますぅー!! (2014年8月31日 18時) (レス) id: b48bae43af (このIDを非表示/違反報告)
リック - 面白かったです 更新頑張ってください (2014年8月31日 1時) (レス) id: 699ce36a27 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:葉鳥 | 作成日時:2014年8月2日 12時

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