この術式痛いよおおおお！！

痛いくらいに綺麗 ページ45

その笑顔に撃ち抜かれたのもまた理由の一つだ。



その後もAは棘が使う言葉を気にすることも無くペラペラと会話を続けた。しかしもちろんパンダや真希、今では憂太も棘の言葉は理解して会話することは出来る。楽しい。



それでも理解するのに時間はかかった。あんなに早く理解してくれるようになったのはAが初ではないだろうか。



今でこそ、この持った術式を恨んだりすることは減ったが昔はそうだった。呪う気のない相手を呪ってしまったあのときが一番辛かった。



自分は違う、皆と違う。



人間それぞれ違うのだから当たり前だ。それでも『話す』という当たり前が出来ないのが苦しかった。



自分が術式を使うと怪我をするから心配されながら戦うことも多かった。大丈夫と伝えたくても伝わらなかったり。



Aはそんな自分とお揃い。



棘が思うようなことではなく、ただ純粋にお揃いなことが誇らしいことのように笑って一緒に頑張りたいと言ってくれた。



笑顔、心が痛くなるくらいに綺麗だった。



でも言葉は呪いだ。想いが籠った言葉は一歩でも間違えたら一生縛り付ける呪いとなる。それは棘が一番よくわかってる。
あんな目にあいたくない、あわせたくない。だから、言葉の代わりになるものを渡した。



花で、自分の想いが伝わるかなとちょっとだけ期待して。
そのつもりであのミモザを渡した。
…万が一バレても問題なさそうなやつ。



怖気付いたのは、認める。
まだ気持ち全部を伝えるだけの自信が自分には無い。
だからこれからの日々で自信をつける。



それでいつか絶対に、呪いなんて抜きにして、伝えたい。



「そういえば棘、昼飯食ったか？」


「おかか」


「Aがどっかに今買いに行ったらしいから真希が渡す金用意しとけだってよ」


「…ツナ！？」


「いんや？一人じゃない、憂太が全力で追いかけて今二人で戻ってきてるってさ」




二人でえんやこらさえんやこらさとおにぎりやら弁当やらホットスナックやらを買い込んでいる様子が想像出来る。



…ずーっとスルーし続けてたけど憂太とはもしかしたらちょっとしたライバルかもしれない。

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