好きなのに。【狗巻棘】《完結》 (ページ31)

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３０話ページ31

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『ねぇ、先輩』

「ツナ？」

『こんなに幸せでいいのかな、

幸せすぎて不安になる、』

「しゃけしゃけ、」

でも、先輩となら。

幸せが一定を超えても。

嬉しい以上に幸せが込み上げてくる。

『先輩、ありがとうございます、』

「すじこー……、」

お別れみたいなこと言わないで、って言いたいのかな。

『先輩からは多分、きっと、離れたくても離れられないです』

「……！！つなぁ、」

何それ、照れてるの。

可愛すぎ。

『先輩、好きだよ、先輩』

「……しゃけ、//////」

キャパオーバーにならないでね、先輩。

『先輩、もうそろそろ戻しましょうか、午後の授業が始まりますよ、』

その場から立ち、弁当箱を持って歩き出す。

すると、棘先輩は私の手を掴み。

「俺も、…………す、き、」

『……ッ、それはずるい、///』

私が一方的に照れていると、唇に柔らかい感触が。

目の前には大きな棘先輩の顔。

綺麗な紫色の瞳。

入り込んだらどんどん沈んでいくような、そんな色。

目、パチパチ。

まつ毛長い。

女の子みたいだ。

触れるだけの＂口付け(キス)＂が終わり、お互いの唇が離れる。

まだ唇に小さな温もりが残っている。

『……。///』

「……ツナマヨ(愛してる)」

『……、はい、私も、ツナマヨ』

意味を理解したことに驚いたのか、目を見開く。

そしてそっぽを向き、私の手を引きながら校舎に戻って行った。

微かに見える棘先輩の耳は真っ赤。

先輩、嘘をつきました。

私の方が早めにキャパオーバーかもです。

．

『このまま校舎入ると照れてるのバレますよ、』

「しゃけ、……」

『からかわれるかもですね、』

「……しゃけ、」

『先輩との話なら何言われても私は平気ですよ、』

「……おかか、」

．

好きだよ、先輩。

何度も言ったこの言葉。

これからも、ずっと。

好きなのに。【狗巻棘】

〔～fin.～〕

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