20話 ページ21
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お見合いはどんどん進んで。
私はいつの間にか話に混じれなくなってしまった。
私とその他の人たちの世界観が違うのだろうか。
また、私の世界がモノクロになっていく気がした。
狗巻先輩に会いたい。
狗巻先輩にあって、もう私の家のことを忘れたい。
私をここから連れ出して欲しい。
「どうかしたのかい?」
「A?大丈夫?」
『…ッ、すみません、ボーっとしていました。
ごめんなさい、つい……。
えっと、なんの話でしたでしょうか?』
私の自我を取り戻せ。
私の本能がそういった気がした。
・
・
「明太子、」
「今更悪いなんて考えんじゃねぇよ」
「もう遅いよ、棘。
なんて言ったってもう会場に着いちゃったし」
早くない?なんて思う棘。
この先に想いを伝えるべき相手がいる。
「棘、もうそろそろ素直になっちゃいなよ」
「……おかか、」
「イタズラ好きなのも棘らしいけどよー、」
「好きな子くらい悲しませんなよ、それでも男か?」
「……しゃけ、」
流されるようにどんどん話が進む棘。
この先に好きな人がいるというのに……。
「棘、落ち着いて、大丈夫だから」
「棘が震えるなんて珍しいよなー、」
「なぁに不安になってんだよ、らしくねぇぞ」
「……高菜、昆布」
棘の手をそっと握る3人。
それに棘は驚くも、素直に握り返す。
「棘、もうそろそろ行かないと、」
「時間は何時までだっけ?」
「1時までだろ?」
後30分もない。
皆はそれくらい悟っていた。
この先にAがいる。
家柄に掴まれているAがいて、助けを求めている。
五条がそっと棘の肩に触れる。
「…………ツナ?」
「安心して、大丈夫、棘の気持ちを伝えるだけでいい」
優しく言いつける五条。
これが五条なりの優しさだと、皆分かっているのだった。
「さぁ、棘、行ってらっしゃい」
「派手にいけよー、」
「自分の気持ちに素直になれよ、」
皆の励ましを胸に、棘は重い豪華な扉を押した。
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椎茸の花(プロフ) - 神無月さん» え、ありがとうッ!!(((殴 (2021年2月17日 17時) (レス) id: 55f7429373 (このIDを非表示/違反報告)
神無月(プロフ) - 好きです!!!!(( (2021年2月16日 20時) (レス) id: 27e0c87bdc (このIDを非表示/違反報告)
椎茸の花(プロフ) - easy R!!さん» 乙骨君良いですよね〜、私も大好きです(●´▽`●)分かりました! (2021年2月16日 7時) (レス) id: 55f7429373 (このIDを非表示/違反報告)
椎茸の花(プロフ) - アップル姫さん» キュンがギュンですかww分かりました、棘君ですね!棘君は神ですよね(*`艸´)ニシシ (2021年2月16日 7時) (レス) id: 55f7429373 (このIDを非表示/違反報告)
easy R!!(プロフ) - えっと個人的に乙骨先輩が推しなので、甘々な感じの日常を書いて欲しいです! (2021年2月15日 22時) (レス) id: 1f230199f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:椎茸の花 x他1人 | 作成日時:2021年2月7日 10時