好きなのに。【狗巻棘】《完結》 (ページ14)

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１３話ページ14

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『ッ、天氷錐』

呪霊に大きな氷柱が突き刺さり、呪霊は祓われていく。

そして遂にはその呪霊はいなくなった。

『狗巻先輩ッ、ごめんなさいっ、本当にごめんなさいッ！！

私が油断したせいで……ッ！！』

「すじこッ！？！？」

『えっ？

えっとぉ、……分かんないです』

「……！！ツナツナ、」

棘怪我はない?

『あっ、怪我は無いです！！

本当にありがとうございましたッ！！』

棘呪霊と戦ってる時に油断するなんてどうかしてると思う

『……ごめんなさい、本当に、ごめんなさい、』

「……、」

狗巻先輩は何か言いたそうで、でも言葉に表せない。

そんな表情をしては目を泳がせていた。

私のせいなの。

狗巻先輩が考えることなんて何も無い。

『先輩、もう呪霊はいませんよね？』

気配が消えているのでさっきのが最後の呪霊だろう。

「しゃけ、」

『そうですか、じゃあ帰りましょう……、？』

私はそう言って帰り道を歩いた。

狗巻先輩も後を追いかけて私の隣を歩く。

なんで私の隣に来るの。

狗巻先輩、きっと私に怒ってるんだろうな。

私の不注意だ。

狗巻先輩に嫌われても仕方がない。

その時、私の頭に疑問が浮かんだ。

＂何故そんなに狗巻先輩の事ばかり考えるのか＂

そんな疑問を抱いても、答えなんてとっくにわかりきってる。

私が狗巻先輩のことを好きだから。

私が狗巻先輩に恋、してるから。

きっとそうだろう。

さっきだって。

怒ってるけど「動くな」って言って呪霊の動きを止めてくれた。

おにぎりの具以外の言葉は初めて聞いた。

でも、とてつもなく胸がキューッと閉まるような感じ。

声が好き。

全部好き。

おにぎりの具を話す時の声も、おにぎりの具以外の声も。

嗚呼、好きだなって思う。

だから、私の隣を歩かないで、先輩。

狗巻先輩が隣を歩くと、私の顔がまた赤くなる。

狗巻先輩は私を嫌ってるんでしょ？

だったら尚更隣を歩かない方がいいよ。

『ごめんなさい、狗巻先輩。』

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