Ep.52 ページ8
何が起きているのか、警察からしたら一般人の私には知る術がない。
それでも、たった今研二くんの口から放たれた一言は、一つ、とても重要な情報を教えてくれた。
―――陣平くんが、何か命の危機に瀕するような状況下にいる。
そうとわかってしまえば、もういてもたってもいられなかった。私はいつのまにか、前を走り去った研二くんの後を、尾行するようにしながら走り出していた。
どうしよう。
どうしよう、どうしよう、どうしよう！
もし。
もし……陣平くんが、死んでしまったら。
頭の中は真っ白で、でも足は止まることがなかった。
―――まさか、死んだりなんてしないよね。
常に最悪の結末を思考する癖は、呪いの世界に身を置いたことで、じわりじわりと身についてしまった癖だった。まさかと思う、思いたい反面、そうならなかった場合の痛みと苦しみを半ば知ってしまっているから、余計に悪い方へ思考が進んでしまう。
あぁそう言えば、呪霊の討祓中、なんだか爆発音みたいな大きな音が、遠くで聞こえた気がするな、とか。
なんだか妙に、人波に逆らうように進んでいる気がするな、とか。
………ついて行ったところで、私にできることなんてないんじゃないか、とか。
そんなことを考えているうちに、私は研二くんを追って、杯戸ショッピングモールまできてしまっていた。
「萩原さん！」
「美和子ちゃん、松田は！？」
「今、72番の観覧車に乗って……！」
研二くんが、刑事らしきショートカットの女性に声をかけた。喧騒の中、聞き漏らさぬようにその声へ耳を傾けながら、私は72番を探した。
72番の席は、既に地面から10メートルほど離れていた。
「おい、松田！早く解体して戻ってこい！！」
解体。
爆弾なんだろうな。私は思う。確か彼は、爆発物処理班所属だった筈だ。
そう、冷静に頭で状況を処理して、離れてゆく72番を見て、ようやく私は、自分にできることなどなかったのだということを理解した。
混乱の窮地に置かれたその場所では、あらゆる声が飛び交っていた。
警察の避難誘導の声、人々の野次馬の声、爆弾という単語に恐怖する声―――だからその中で、私が
「うぁああぁぁぁ！！！」
小さな悲鳴に。
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やなり(プロフ) - トマトまとさん» 温かいお言葉をありがとうございます！(T-T) 拙作を好きだと言っていただけて本当にうれしいですし、トマトまと様をときめかせることができたようで良かったです(*^ω^*) こちらこそ、最後まで読んでいただきありがとうございました！ (2022年12月13日 14時) (
レス) @page28 id: 38128c49d7 (このIDを非表示/違反報告)
トマトまと(プロフ) - 完結おめでとうございます！！！最終話を読んで、裏設定を読んで、更にこの作品が好きになりました。愛っていいなぁと思うお話で、キュンキュンしながら読ませていただきました。素敵な作品を読ませていただき、ありがとうございました！ (2022年12月11日 13時) (レス) id: 1d9d2ab89b (このIDを非表示/違反報告)
やなり(プロフ) - 愛実さん» お待たせしました！！最終話を更新いたしました。楽しんでいただけたらうれしいですm(_ _)m (2022年12月11日 11時) (レス) id: 38128c49d7 (このIDを非表示/違反報告)
やなり(プロフ) - そらさん» ありがとうございます！大変遅らせながら、最終話を更新しました。楽しんでいただけたらうれしいです(*´꒳`*) (2022年12月11日 11時) (レス) id: 38128c49d7 (このIDを非表示/違反報告)
愛実 - めちゃ続き気になる…、！！！更新待ってます！！無理しない程度で頑張ってくださいッ！ (2022年10月6日 18時) (レス) @page23 id: e769ed5532 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やなり | 作成日時：2022年8月4日 14時
