Ep.66 ページ23
私は多分これから先も、陣平くんが、私の大切な人達が、呪いのせいで被害を被るようなことがあったら、自分の身を顧みずに助けに行くと思う。
それが、私が呪術師である理由だからだ。
「陣平くんが生きてる限り、死なないし、死ねないよ」
「嘘つけ」
「嘘なんかじゃ」
「手ぇ離すなっつったくせにお前から離したじゃねーかよ」
「………え?」
それは。
もう二十年以上も前の話で。
「俺は、離したつもりはねぇよ」
都合よく勘違いしてもいいなら、まさか
「それでも離れてくなら、捕まえるぞ」
ずっと、覚えていてくれたの?
信じられない。
心臓の鼓動はうるさいのに、頭はうまく回らなくて、私は金魚みたいに口をパクパクさせながらフリーズする。そんな私に痺れを切らしたのか、陣平くんは私から離れて「おい」と再度問うた。
「離さなくていいの?」
「言ってるだろ。離したつもりなんてねーよ」
彼が、ベットの上に投げ出されていた私の手を握る。
「まぁ、離さねぇっつったら、もう逃げられねーと思えよ」
「逃げてなんてないけど」
「逃げたじゃねーか。段階踏んで」
高専に転学したことと海外任務に三年間も行っていたことだろうか。
まぁ、海外に行ったのが、逃げたっていうのは本当だけど、高専に行ったのは、むしろ離れたくなくて、陣平くんと向き合うためっていうか。
「もう逃げないから、安心してよ」
「………お前、わかってねぇよな」
「何を」
陣平くんは頭をガシガシとかいた。
近距離で、サングラス越しに目があった。
「好きだ」
流石にそう言われてわからないほど、私は子供じゃなかった。
じゃあ、離さないとか、捕まえるとか。
それって。
ぶあ、と顔に熱が集まった気がした。
でも、よくよく見ると、陣平くんの耳朶が林檎より赤く染まっていて。
私は逆に落ち着いてしまった。
この幼馴染みは、意外とうぶで可愛いのだ。
「おい、笑うな」
「笑ってないよ」
「笑ってんじゃねーか」
「笑ってないってば!」
「ふふふ」と声が漏れ出てしまった。なんだか、おかしくて、笑いが止まらない。挙げ句の果てに涙が滲んできた。
「うふ、くふふ、あははははっ」
「やっぱり笑ってんじゃねーか」
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やなり(プロフ) - トマトまとさん» 温かいお言葉をありがとうございます!(T-T) 拙作を好きだと言っていただけて本当にうれしいですし、トマトまと様をときめかせることができたようで良かったです(*^ω^*) こちらこそ、最後まで読んでいただきありがとうございました! (2022年12月13日 14時) (レス) @page28 id: 38128c49d7 (このIDを非表示/違反報告)
トマトまと(プロフ) - 完結おめでとうございます!!!最終話を読んで、裏設定を読んで、更にこの作品が好きになりました。愛っていいなぁと思うお話で、キュンキュンしながら読ませていただきました。素敵な作品を読ませていただき、ありがとうございました! (2022年12月11日 13時) (レス) id: 1d9d2ab89b (このIDを非表示/違反報告)
やなり(プロフ) - 愛実さん» お待たせしました!!最終話を更新いたしました。楽しんでいただけたらうれしいですm(_ _)m (2022年12月11日 11時) (レス) id: 38128c49d7 (このIDを非表示/違反報告)
やなり(プロフ) - そらさん» ありがとうございます!大変遅らせながら、最終話を更新しました。楽しんでいただけたらうれしいです(*´꒳`*) (2022年12月11日 11時) (レス) id: 38128c49d7 (このIDを非表示/違反報告)
愛実 - めちゃ続き気になる…、!!!更新待ってます!!無理しない程度で頑張ってくださいッ! (2022年10月6日 18時) (レス) @page23 id: e769ed5532 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:やなり | 作成日時:2022年8月4日 14時