Ep.58 ページ15
私は車の後部座席で、パソコンのキーを叩く。
三上さんの伝手で手に入れた情報、今まで起きた事件の発生場所を調べると、大抵曰く付き、つまりは呪霊が湧きやすいスポットだった。もうこれは呪いの被害と断定していいだろう。
その場所を分析すると、呪霊の居場所は大体絞れた。私は今呪霊のいるであろう場所に向かっている。
「宮下さん、もう少しで着きます。………あの雑居ビルですね。つい昨日、窓による残穢の報告がされていました」
「じゃあ、やっぱりビンゴかな」
そこは、もう使われていない雑居ビルだった。
私は車の停車と同時にドアを開けて、ビルの目の前に立つ。
………いる、な。確実に。
残穢と、濃い呪力の気配がある。
「三上さん、場所特定。等級がまだわからないんだけど、多分準一級以上。できれば同級以上の術師を連れてきてほしい」
「了解です。宮下さんは」
「先に索敵してます」
御武運を。そう言って三上さんは車を走らせた。
小さくなってゆく車の後ろ姿を見て一息。さて、索敵始めるか、とビルを見上げた時だった。
私の左隣に車が止まって―――陣平くんが、そこから出てきた。
な、なんで。
目を丸く見開いて驚きを露わにした私と同様に、彼も驚いた様子で目を見開いた。
「……よぉ、このビルに用事か?」
「え?いや……違うけど」
「だったら、このビルには近づかない方がいいぜ」
いやそれこっちのセリフだわ。
「なんで?」
「危ねぇからだ。早く帰れ。死にたかねぇだろ」
いやそれこっちの……(以下略)
あぁ、嫌な予感がする。そしてこういう時の予感はたいてい当たるものなんだ。私は知っている。
「それって、爆弾予告が来てるっていう?」
「……なんでお前が知ってんだよ」
「高木刑事が言ってたけど」
「お前、高木とそんなに仲がいいのか?」
「いや、仲良くはないよ。今朝の事件でばったりして」
「よく巻き込まれてんな……じゃあ、俺がここにいる理由もわかってんだろ。こういうことはプロに任せな」
いいか、早く帰れよ。陣平くんは私に念を押して、そしてビルに入って行ってしまった。
……っていやだから!このビルに近づいたら死んじゃうの陣平くんの方だからさ!?
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やなり(プロフ) - トマトまとさん» 温かいお言葉をありがとうございます!(T-T) 拙作を好きだと言っていただけて本当にうれしいですし、トマトまと様をときめかせることができたようで良かったです(*^ω^*) こちらこそ、最後まで読んでいただきありがとうございました! (2022年12月13日 14時) (レス) @page28 id: 38128c49d7 (このIDを非表示/違反報告)
トマトまと(プロフ) - 完結おめでとうございます!!!最終話を読んで、裏設定を読んで、更にこの作品が好きになりました。愛っていいなぁと思うお話で、キュンキュンしながら読ませていただきました。素敵な作品を読ませていただき、ありがとうございました! (2022年12月11日 13時) (レス) id: 1d9d2ab89b (このIDを非表示/違反報告)
やなり(プロフ) - 愛実さん» お待たせしました!!最終話を更新いたしました。楽しんでいただけたらうれしいですm(_ _)m (2022年12月11日 11時) (レス) id: 38128c49d7 (このIDを非表示/違反報告)
やなり(プロフ) - そらさん» ありがとうございます!大変遅らせながら、最終話を更新しました。楽しんでいただけたらうれしいです(*´꒳`*) (2022年12月11日 11時) (レス) id: 38128c49d7 (このIDを非表示/違反報告)
愛実 - めちゃ続き気になる…、!!!更新待ってます!!無理しない程度で頑張ってくださいッ! (2022年10月6日 18時) (レス) @page23 id: e769ed5532 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:やなり | 作成日時:2022年8月4日 14時