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「…っ…」
「ん?」
「あ…あたって…」
どうやら気がしていただけのようで、気持ちとは裏腹に身体はいたく正直者だった。
そのままぐりっと下半身を押しつけるように密着すると、北山の身体がさらに熱を持ったような気がした。
「ふじがや…っ」
「だって、あんまりかわいすぎるから」
「だっ…誰がっ…」
「お前が」
そう言って真っ赤な唇を食べ尽くすような口づけを繰り返し、ぎゅっとしがみついている北山の耳元で囁く。
「優しくする。絶対痛い思いさせないから、…抱かせて」
その言葉は紛れもない本心で、大事にするからと祈りにも似たような心持ちで告げたものだったのに、何故だか北山は目を丸くして驚き、それからクスクスとおかしそうに笑い出した。
「…何?」
「んは、ごめん。だってそれ…さっき俺が言ったのとまるっきり同じだったから」
「え?うそ」
「んふふ、ほんと」
そうだったかと思い返してみても色々戸惑いが強すぎたせいですっかり記憶から追いやられてしまっていた。
だけど、無意識下でも同じ言葉を口にしたのだとしたら、やっぱり俺ら相性良いってことだよな。
とにもかくにもこれで北山も少し緊張は解けたみたいで、小さくはにかんで俺の腕を引いて自らシーツの波に埋もれた。
全体重を掛けてしまって慌てて身体を少し浮かせて北山を見下ろせば、やっぱり北山は笑っていた。
「っ、北山…?」
「ははっ、…あー。もーいいや」
「え?」
「だってさ、藤ヶ谷だもんな」
「…?」
一人完結しているような素振りに、頬に手を添えて北山の真意を確かめようと目をジッと見つめる。
諦めとも自棄とも違う色に、期待を込めてもう一度名前を呼んだ。
「藤ヶ谷は、俺のこと…大事にしてくれんでしょ?」
「そんなの、当たり前じゃん」
「ん…、ならさ、俺お前になら…何されたっていいわ」
男に抱かれる…
そんな未知な事に対して北山は、全部俺に委ねてくれる。
自分が抱く側だと疑わなかった北山が、何をされてもいいだなんて笑っている。
好きで好きで堪らないこの人に、とてつもなく愛されているような気がした。
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絢音(プロフ) - たいちゃんらぶさん» 本編のみったんはやや不安要素を残して終えましたが、アフターストーリーの番外編ではそんな杞憂も消えたいぴにすっかり心預けているみったんを描けていればなぁと思う次第であります(*゚▽゚*) (2020年3月18日 20時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - たいちゃんらぶさん» たいちゃんらぶさん♪たいぴの勘違いからコメディ風に進み、そして甘々シーンを経てより一層幸せな二人にできて私も嬉しく思います( ̄∀ ̄)♪Yの証人も楽しんでもらえてよかった〜♪ (2020年3月18日 20時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - ユキスケさん» ユキスケさん、お久しぶりです(^^)♪私まで優しくなれそう、そのお言葉に本作を創って良かったなと心から思えました…!Yの証人もありがとうございます(笑)第三者目線はなかなか新鮮で楽しく書けました♪ほっこり甘々な二人にできて良かったです(*゚▽゚*) (2020年3月18日 20時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - ピンクピーチさん» ピンクピーチさん、いつもありがとうございます♪今回は完全片想いから始まるという珍しい入りでしたが、甘々な着地にもっていけてホッとしております( ̄∀ ̄)横尾さんエピも楽しみながら追加しましたが、楽しんでもらえて良かったです(^^) (2020年3月18日 20時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - *コウ*さん» コウさん、初めまして(^^)序盤からもどかしい二人を見守って下さりありがとうございました!今回かわいめなきたーまさんを書けて私も大満足です(*゚▽゚*)また別の作品でお会いできる事を楽しみにしています♪ (2020年3月18日 20時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:絢音 | 作成日時:2019年12月21日 13時