メンバー全員、片想い2〈SnowMan〉

向き合わなきゃいけない事 ページ44

.


『…目黒』


優しく包み込む腕の中でそう呟けば、彼の体がピクッと反応して少しだけ距離が離れる。


『…ごめん』
目「ん、」


私の勝手な弱さで、目黒を利用した。ここでキスしてしまえば、ふっかへの気持ちを消せるんじゃないかって…。そんなわけない事は自分が1番わかっているのに。


それでもまだ私に、優しい笑みを向けてくれる目黒は相当お人好しだと思う。完全に離れた体。この罪悪感は、昔感じたものと同じだった。


『向き合わなきゃいけない事があるの』
目「…え？」
『…康二に、康ちゃんとちゃんと向き合わなきゃ私…』


約6年間、私は彼の思いから逃げた。いや、彼に対する罪悪感から。


『…付き合ってたんだ、昔。ふっかのことが好きだったのに』
目「…そっか」


誰にも言わないと決めていたのに、目黒の柔らかい雰囲気に呑まれて心のもやがどんどんと溢れ出す。


『傷つけて、傷つけて、傷つけて、別れを告げた康ちゃんに何も言えなかったの』


康ちゃんに救われた部分もたくさんあった。一緒に居て、本当に楽しかった。なのに…涙があふれそうになって唇をぐっと噛み締める。



目「康二の事、本当に好きじゃなかったの？」
『…え？』
目「いや、わかんねーけど。なんとなくさ」



好き、はっきりとそう言えるかはわからない。ふっかに向けていた気持ちとは少しだけ違う気持ち。だけどあの時私は、



『…ちゃんと、好きだったよ』


ポツリと呟いた言葉は、ゆっくりと空に消えて行く。
同情なんかじゃない、康ちゃんは私に２度目の恋を教えてくれた人だった。だけどそれは、100%の恋心ではない。ただ、それだけ。



目「ちゃんと、向き合ってきなよ。ふっかさんも康二も好きだったなんて2人に対しても酷いことだと思うけど、それでも」
『…康ちゃんならわかってくれる、でしょ？」
目「あいつ、お人好しだから」


「それでも、少しでも自分に気持ちがあったって知ったら康二も救われるんじゃない？」そう笑った目黒に、私は頷いた。

私の本心、君の気持ち→←葛藤の中で

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す