私の病気の話 3 ページ5
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私は自由にファッションを楽しんだことがない
まず、衣服を選ぶときに第一に布、肌触りが優先されるからだ
私の肌は敏感。そう、敏感なのだ
だから、チクチクする、ニット素材などもってのほか。だから、冬はすこし寒い
新しく服を買う時は必ず表面、裏面を自分の手で触って、大丈夫か確かめてから買うようにしている
私の好みなど二の次だ
お洒落な服を着てみたいと思っていた
肩がでたTシャツ。ひらひらの短いスカート。短パン
でも、どれも肌がでる。私の醜い、汚い肌がでる
醜い嫉妬だよ。哀れな、どうでもいい羨望
いつからか、そういった服を着てみたいと思うこともなくなっていった
シンプルなもの。それだけを買っていくようになった
私服はどれも似たようなもので構成されている。夏も冬も大体同じ
パーカー、中に着るTシャツ、ジーンズ
びっくりするほど代わり映えが無い。違うのは精々、色ぐらいだ
シーツなど、日用品も気を使わなければいけない
母が、いつも買ってきてくれるんだけど、これはいつも難しい
私チェックが入らなかったせいで一度も使われず、放置されてしまっているシーツもあるからね。申し訳ない
いつも頭の片隅で考えている
この病が治ったときのことを
母も昔はそうだったと前に書いたよね
だから、いつか治るよと母は言った
母の肌はそのことが信じられないほど綺麗でスベスベだ。羨ましい
思い浮かばない、信じられない
私のこのくだらない苦しみがいつか終わる日が来るという
その時、私は生きていられるのだろうか?
疑問だ
ふとした瞬間、いつも自分の肌を眺めている
傷だらけ、湿疹だらけの醜い肌を
自分で自分を哀れんでいる
他人を羨んでいる
いつだったか、思ったことがある
私には数少ない友人がいる
その友人はとても肌が綺麗だ。聞けばお母さんも肌が綺麗だと言った。遺伝だ
友人の肌は白くて、スベスベで、ムダ毛の一つもない
そして思った
あぁ、羨ましい
欲しい
その肌すべて剥ぎ取って私に頂戴?
いらないなら私に頂戴
本気でそう思った
怖かった。恐ろしかった
自分のことが
滅多に学校に来ることのない私にいつも変わらず普通に接してくれる、数少ない小学校からの友人だった
しょうがないな、と笑っていつも私にいろいろ教えてくれた
そんな優しい、感謝してもしきれない友人に
一瞬でも、そんなことを本気で考えてしまった自分がどうしようもなくこわかった
病は不幸しかもたらさない
そう、思った
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作者名:潮見 不可 | 作成日時:2022年9月21日 13時