怪異に好かれやすいイザナくん

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｢お前もすぐ慣れるって｣


と優しく肩を叩きたがら拾ったペットボトルを花垣に渡した。そして｢おやすみ｣とかっこよく笑い部屋に戻ってしまったのだ。



花垣はペットボトルを見て｢え｣と呟いた。
天竺組がわちゃわちゃと帰っていく姿を、花垣はペットボトルのゴミを持って見送った。



結局トイレには行かなかった。波がひいたから。

花垣はトボトボと部屋に帰るとペットボトルを抱きしめて眠ったのだった。



翌日



｢なんでペットボトル抱きしめてんの？｣と髪をボサボサにした万次郎が聞いてきた。
花垣はペットボトルを膝に置き、｢強くなれる、気がしました｣と頑張ってカッコイイ顔をして言った。



しかしただウサギが頑張ってキリ！としているだけなので万次郎は｢そっか｣と優しく微笑んであげた。



｢昨日なんか騒いでたけどよ、また出たのか？｣



2階から起きてきた場地が万次郎を見た。
万次郎は｢？知らね｣と不思議そうにしてきたが、花垣の持つペットボトルを思い出し｢あぁ｣と一人で納得し始めた。



そして｢イザナお前やるならやるって言えよな！事前に。ホウレンソウ大事！｣とどこかへと走ってしまったのだ。



｢あー、あのな花垣。イザナくんはちょっとそういうのに好かれやすい質みたいでよ。よく出んだよ、この家｣



場地は頭をかきながらペットボトルを抱きしめる花垣に説明をする。花垣は(でしょうね)と(やっぱりアレってそういう)と顔を蒼くさせた。


そうしていると、ドヤドヤとリビングに天竺組の野郎どもが現れた。
先頭を歩くイザナの横にはヨレたタオルを持つ髪がボサボサの万次郎が｢先に言えよ！たけみっちがウサギみたいにプルプルになっちゃったじゃん！｣と何やら叫んでいた。



花垣は｢や、ウサギには｣と反論しかけたが、竜胆がトテトテと隣に来て｢うける｣とペットボトルを抱きしめる花垣と一緒に自撮りを始めたので何も言えなかった。




｢朝からうるせぇ。佐野家マニュアルその15に夜中のトイレは危険って書いてあんだろ｣
｢トイレ大丈夫？って確認したし。てか生理現象なんだからショーがねぇじゃん！｣
｢はーうっせ、うっせ｣



何なんだろうこれ。花垣は龍宮寺を見た。
龍宮寺は何も言わずにエマの作った卵焼きを食べていた。



花垣はク！と悔しそうに顔を顰めた。
その姿はバッチリと竜胆の携帯に収まっており、数日間だけ竜胆の待ち受けはしわくちゃの花垣になったのであった。

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