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花垣は立ち上がった。
一人でトイレに行くことを決めたのだ。
ソと布団から抜け出し、部屋を出る。真っ暗な廊下の壁を手で伝い廊下の電気をパチと付けた。明かりがあるだけで少しはマシになった。怖いもんは怖いけど。



花垣は縮こまりながら廊下を歩く。
万次郎の家はでかいので、トイレが遠いのだ。早く行って戻ろう。
そう思って曲がり角を曲がろうとした時。



ピチョンと水の音がした。
花垣はピタリと固まる。今、後ろから確かに、水の音がした。



花垣は少し考えると、競歩並の速さで廊下を進みトイレまで歩いた。後ろは一切見ない。
視線は前に固定である。
ジジと明かりが点滅し、ギシと床が軋む度にビクと体が跳ねた。



しかし尿意は待ってはくれない。
やっとトイレに到着し、入ろうとした時である。
トイレが使用中だったのである。
花垣は「え」と扉の前で3秒固まり、トントンと扉をノックした。


すると中からトントンと返事が返ってきた。
誰か入ってる。サーと頭の血が引く感覚がきたが、直ぐに(そういえばイザナくん達も泊まってるって言ってたっけ)と思いだす。



そうだ、きっとその誰かが入ってるんだ。
なんだ、そうだよな。そうだ普通に考えすぎだったんだ俺は。



「何してんの」
「ぎゃ!」



花垣は叫んだ。
しかし夜中だと言うことを思い出した、慌てて口元を覆った。
恐る恐る後ろを振り返ると、見覚えのある白の髪が視界に入る。


「い、イザナくん」


イザナである。
彼は少し眠そうに瞬くともう一度「何してんの」と呟いた。花垣は「トイレ待ちで」と頭に手を当てながら答える。イザナはジと花垣を見つめた。そして「?」と不思議に思う花垣の隣を通ると、扉に手を掛けたのである。



「あ、今使用中で」
「空いてるけど」



「え」と花垣は振り返った。
イザナが扉を開けている。中には誰もいなかった。あれ、なんで。花垣は「空いてる?」と子供のように言った。
イザナは「あいてる」と眠そうに言った。


「けど、さっきトントンって返事、返ってきましたよ」



花垣は徐々に顔を蒼くさせる。
確かに返事が返ってきたから。なのに人はいない。もうパニックである。
イザナは「あー」と蒼くなる花垣の顔を見てちょっと考えた。


そして「待っとけよ」とポケットから携帯を取り出すと「トイレ」と一言だけ言って切ったのだ。

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月野 - この手の話、今まで無かったので新鮮でした!とても面白かったです!!更新楽しみにしています! (2022年10月6日 2時) (レス) @page19 id: dccd327fc0 (このIDを非表示/違反報告)
はる - 軍時さん» まじですか?ありがとうございます!! (2022年9月25日 22時) (レス) id: 1a9036ae39 (このIDを非表示/違反報告)
はる - 武道可愛いですねw。空になったペットボトルまだ持ってるなんて…。竜胆は武道になにをあげるんだろう。気になります!斑目の設定考えた主さんが天才すぎる!! (2022年9月25日 22時) (レス) @page19 id: 1a9036ae39 (このIDを非表示/違反報告)
軍時(プロフ) - 零さん» 特殊な訓練を受けている彼らだからこそ出来る対処法なので実際には…です笑なのでたけみっちがペットボトルをブンブン!と降っても除霊は出来ないことになりますね、かわいいですね🌼楽しいと思って貰えてとても嬉しいです🥰コメントありがとうございました! (2022年9月25日 18時) (レス) id: 9794be9817 (このIDを非表示/違反報告)
軍時(プロフ) - 零さん» 大丈夫ですよ〜!ゆっくりにはなりますが更新頑張りますね💪 (2022年9月25日 18時) (レス) id: 9794be9817 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:軍時 | 作成日時:2022年9月13日 11時

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