怪異に好かれやすいイザナくん

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｢入ってます｣
｢知ってます｣



赤い女の登場である。
野郎どもは一斉に持っていた物を女にぶつけた。カクチョーは｢わ！わぁぁ！｣と目をつぶりながら女にファブリーズを噴射し、蘭はウイスキーを頭からぶっ掛けた。


竜胆はハッピーターンで女を殴った。その後に望月が塩飴を投げつけたのだ。



女は｢え、あ｣と間抜けな声をだしながらピカァと光り消えていった。女がキラキラと消えた後、イザナが｢除霊完了｣と呟いた。
｢ま、こんなもんよな｣と蘭は空になったウイスキー瓶を肩に置いた。



カクチョーはファブリーズを抱きしめていたし、竜胆は割れたハッピーターンを見て少し悲しそうにしていた。望月は普通にコーラをチマチマ飲んでいた。



｢え、え｣と斑目だけが状況についていけなかった。何コレ、である。



｢大将がさぁ、色んなもん連れてきちまうからなんとなく除霊っぽい事してたら本当に除霊できるようになったんだよね、俺ら｣



ドヤと蘭がポーズを決めて言った。
しかし手には空のウイスキー瓶である。格好がつかない。
斑目は｢俺しらない｣とちまい声で言った。



斑目だけが、こんなクレイジーな除霊をしている事を知らなかったのだ。
仲間はずれ？とちいかわみたいに皆を見た時



｢お前はいてくれるだけでいい。歩く除霊機だから｣




イザナはカッコイイ顔で斑目の肩にポンと手を置いた。斑目がいるだけで低級の怪異なら勝手に除霊してしまうのだ。なので斑目はいてくれるだけでいい。



後の面倒い奴らは俺らに任せろ。｢お、おう｣ととりあえずガッツポーズをとった。斑目はヒロインポジションであった。しかし斑目、よく意味が分かってなかった。




これは、怪異に好かれるイザナと愉快な仲間たち(ヒロインは斑目)の元気溢れる日常の一部である。
彼らはしらない、明日が訪れる度に怪異の数が増していき、他のチームをも巻き込む騒動に発展する事を。



斑目はしらない。
ヒロインポジションになってしまったことで、狂犬から子犬になってしまう事を。


愛されタグをつけた方がいいのかなと思うレベルに色々なチームから｢俺んとここい！(訳除霊機くれ！)｣と言われる事を。



まだ誰も知らない。

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