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斑目はやっぱイザナやばいなとクッションを握りしめた。三面鏡とか赤い女も怖かったが、何が一番怖いって。
(平然と女にハサミを投げつけるイザナなんだよなぁ)
イザナ以外の皆の心の声が1つに揃った。
黒川イザナ。彼は怪異に好かれる体質の人間である。しかし彼は今まで引っ張られる事無く生きてこれた。
そういうものは精神の乱れがあるものと波長が合いやすいらしい。きっとイザナが好かれやすいのは精神の乱れがそういうものとチャンネルがあうからだろう。
まぁ、しかしイザナは強かった。
足のない男がベットの下から現れようが、顔から下がない子供に遭遇しようが、お出来まみれのババアに変な宗教に勧誘されそうになろうが、全部どうにかしてきた男である。
イザナは机の上にあったサイダーを適当に飲んだ。竜胆が「あ」とイザナを見た。それ俺のなんだけど。竜胆は何も言わなかった。言っても返って来ないからである。
「じゃあもう三面鏡はなくなったんだ」
よかったね大将。蘭はニコニコかわゆく笑った。手にはパイの実があった。竜胆のパイの実である。竜胆は何も言わなかった。どうせ返してくれないから。
「いや」
イザナは顔をあげるとジと部屋の隅にあったロッカーを見つめた。皆が「?」とロッカーを見つめた。
望月が「なんだよ」とイザナに視線を戻そうとした時である。
トントン
トントン
ロッカーの中から、扉を叩く音がしたのである。斑目は「お」と固まった。
ロッカーはサッカーボールが入る程の大きさしかない。何故、中から音が聞こえるのだろう。
イザナは立ち上がった。
その後ろでカクチョーがファブリーズを手に取った。蘭は度数の高いウイスキーを掴み、竜胆は持ってきたハッピーターンの袋を持ち上げた。望月はヤレヤレと手袋を嵌めて近くにあった塩飴を数個手に取る。
斑目は「え、なに、え」と立ち上がった仲間を見つめた。彼だけがプルプルと震える子犬であった。
イザナはツカツカと真っ直ぐロッカーに向かった。そして勢いよくロッカーを蹴りあげたのである。ロッカーは凹み、キィと甲高い音を出しながらゆっくりと開いたのだ。
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月野 - この手の話、今まで無かったので新鮮でした!とても面白かったです!!更新楽しみにしています! (2022年10月6日 2時) (レス) @page19 id: dccd327fc0 (このIDを非表示/違反報告)
はる - 軍時さん» まじですか?ありがとうございます!! (2022年9月25日 22時) (レス) id: 1a9036ae39 (このIDを非表示/違反報告)
はる - 武道可愛いですねw。空になったペットボトルまだ持ってるなんて…。竜胆は武道になにをあげるんだろう。気になります!斑目の設定考えた主さんが天才すぎる!! (2022年9月25日 22時) (レス) @page19 id: 1a9036ae39 (このIDを非表示/違反報告)
軍時(プロフ) - 零さん» 特殊な訓練を受けている彼らだからこそ出来る対処法なので実際には…です笑なのでたけみっちがペットボトルをブンブン!と降っても除霊は出来ないことになりますね、かわいいですね🌼楽しいと思って貰えてとても嬉しいです🥰コメントありがとうございました! (2022年9月25日 18時) (レス) id: 9794be9817 (このIDを非表示/違反報告)
軍時(プロフ) - 零さん» 大丈夫ですよ〜!ゆっくりにはなりますが更新頑張りますね💪 (2022年9月25日 18時) (レス) id: 9794be9817 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:軍時 | 作成日時:2022年9月13日 11時