怪異に好かれやすいイザナくん

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神喰村には大奥様の家に十歳になったガキを四人集めて同じ部屋に入れてか.ん禁するというおかしな風習があったそうな。大奥様とはこの村の神様だ。選ばれたガキ共は僅かな食料と共に半年間閉じ込められる。


このか.ん禁から生き残った者は神の子になれると甘い言葉をつけて。ガキ共は神様なんて知ったこっちゃなかったけど、村の大人は違う。どうにか神様に近づいて欲しい。あわよくば、村での立ち位置を万全なものにしたいと欲深い大人はガキ共に強いた。生き残りなさいと。



渡された食料は本当に少なかった。4人で分け合うと直ぐに無くなってしまう量だ。生きる。生きる為には食料が必要になる。だがその食料は少ない。じゃあどうすればいい。どうすれば生き残れる。



腹が減り親元を離れた心細いガキ共は次第に弱っていき思考が散漫になる。徐々に心が壊れ始めると、生き残るための手段として狩猟的な考えに陥るようになる。同じ部屋にいるやつがいなくなればいい。そっか、殺せばいいんだと。


そうすると生き残りたいガキは同じ子供を殺し始める。部屋には大人の置いていた刃物や縄があったからやろうと思えば容易くできたのだ。



｢竜胆、お前が見たあの子供部屋はそのか.ん禁部屋だ｣



だから子供部屋なんだよ。子供をか.ん禁するから。イザナはそのまま持っていたカップ酒を勢いよく竜胆の頭から被せた。斑目は｢わ！｣と驚いたがポタポタと髪から酒を垂らした竜胆は何も言わなかった。



｢二人いる｣



十歳くらいの女と男。竜胆の腰あたりの洋服をギュと掴みイザナを空洞になった目で見つめていた。子供は竜胆から振る酒に当たると｢痛い｣｢助けて｣｢ごめんなさい、もうしないから｣｢お母さん｣と泣きながらパチパチと消えていくのだ。これは木が火に燃えるような弾けた音であった。



子供がいなくなって、イザナは強めに竜胆の背中を叩いた。カハと詰まった息の吐く音がする。少しして、竜胆はゆっくりと顔を上げた。疲労している眠そうな顔だったので、蘭は｢大将｣とイザナを見た。



｢今日はもう寝かせとけ｣
｢大丈夫なの｣
｢コイツの気力次第｣
｢大将｣
｢……家帰って塩でもまけ｣


蘭は竜胆の頭をジと見て、｢飽きたから帰るわ｣とフラフラの竜胆を連れて帰った。イザナは心配そうなカクチョーと何が何だかの斑目に｢行くぞ｣と声をかけ神喰村を出たのであった。

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