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「え、それヤバいやつじゃん」
「おう」
「いや、おうじゃなくて」
「それで…」
「え、普通に話すじゃん。びっくりした」
それからイザナ、オッサンの奥さんの持っていたネックレスを探す事になった。妻がずっとネックレスが無いと泣いているからと必死だった。イザナは面倒くさと思いながら探すのを手伝って上げた。ここで断る方が面倒くさくなるので。
イザナは空き家の隅々までゆっくりと歩きながらネックレスを探した。
燃えた跡のあるキッチンから黄色いシミがこびり付いたお風呂場、子供の玩具が散乱する二階の部屋、家族写真が飾ってある寝室。しかしネックレスはどこにもない。
はて、困ったなとイザナは1階に降りた。階段の近くで考えこんでいると、近くでガタという音がしたのだ。オッサンは2階である。
イザナはソと音のする方に向かった。壁に手を添わせて音の出処を探していると、階段の側面部分に小さな隙間があったのだ。
棚に隠されるように置いてあり、小さな突起物もあった。きっと小さな物置部屋があるのだろう。
イザナは上を見た。オッサンが戻ってくる気配はない。
よし、とイザナはその扉に手を掛けると扉を開けたのである。
「…それで?え、それでどうなったわけ」
「……聞きてぇ?」
「聞きたくないけど聞きてぇ」
「小さい女の子が三人倒れてた」
「お」
扉の先には小さな空間があった。
イザナは「ひ」と声を上げた。しかし咄嗟に右手で口元を覆ったのである。上にいるやつにばれてはいけないので。
その小さな空間には女のコがいた。三人、グデと力なく倒れていたのである。肌は黒く腐敗しており、ウジが湧いていた。
ツンとキツい臭いして、目が痛くなる。死体、とイザナは後ずさった。女のコの死体があったのだ。
イザナは直ぐにここを出なきゃと扉を閉めた。あのオッサンにバレる前に。見つかる前に!
「イザナくん」
ヒュと喉がしまった。イザナは恐る恐る上を見た。階段の上から、オッサンがコチラを見つめていた。二とオッサンは笑っていた。
何事もないように「見た?」と普通に笑うのだ。
イザナはサーと頭の端が痛くなった。次第に顔は蒼くなる。
喉に力が入った。「見てない」と小さな声で答えた。オッサンは笑いながら「見た?」ともう一度イザナに聞いた。イザナはアと思った。オッサンの手には鈍く光る刃物があったのだ……
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月野 - この手の話、今まで無かったので新鮮でした!とても面白かったです!!更新楽しみにしています! (2022年10月6日 2時) (レス) @page19 id: dccd327fc0 (このIDを非表示/違反報告)
はる - 軍時さん» まじですか?ありがとうございます!! (2022年9月25日 22時) (レス) id: 1a9036ae39 (このIDを非表示/違反報告)
はる - 武道可愛いですねw。空になったペットボトルまだ持ってるなんて…。竜胆は武道になにをあげるんだろう。気になります!斑目の設定考えた主さんが天才すぎる!! (2022年9月25日 22時) (レス) @page19 id: 1a9036ae39 (このIDを非表示/違反報告)
軍時(プロフ) - 零さん» 特殊な訓練を受けている彼らだからこそ出来る対処法なので実際には…です笑なのでたけみっちがペットボトルをブンブン!と降っても除霊は出来ないことになりますね、かわいいですね🌼楽しいと思って貰えてとても嬉しいです🥰コメントありがとうございました! (2022年9月25日 18時) (レス) id: 9794be9817 (このIDを非表示/違反報告)
軍時(プロフ) - 零さん» 大丈夫ですよ〜!ゆっくりにはなりますが更新頑張りますね💪 (2022年9月25日 18時) (レス) id: 9794be9817 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:軍時 | 作成日時:2022年9月13日 11時